第34話 紫陽花、バイト先の男に告られる



《有間愁斗―視点》



 深夜の狂ったテンションで非現実的な世界へ邁進する童貞と処女。

 彼女は転がって仰向けになり……。


「足って開くんですか?」

「たぶん?」


 なんの躊躇いもなく股を開いてM字開脚する。豆電球の細いオレンジの光に完全に目が慣れた俺の視界には少し汗ばんだ形の良い生足と下乳までずり上がったシャツ、露出した細いウエストには綺麗なおヘソが見える。

 そして視線を上にやるとCOOL系美少女の顔が……。


「こ、これで合ってますか?」

「た、たぶん?」


 彼女の両膝を手で掴んで俺も足を開き、枝を花びらにくっ付ける。バックはギャグ要素が強く笑ってしまったが、これは結構ヤバい……。

 ぴったりフィットさせると枝が幹へと成長していく。


「ほ、本当に入るんですかね?」


 実際に入れたことがないから画像だけでしか知らない。


「入ると思うけど……、入るところに当たってる?」

「はい……、あっ……硬くなってる」

「う……うん」

「じゃぁ、動かして見るね?」

「お、お願いします」


 これでいいのかな?押し付けるようにスライドさせてみる。


「んッ、こ、こすれッ…る」


 いや、つか……これ俺もヤバいって。最近処理してなかったから……、続けたらマジでヤバい!

 でも直ぐに止めたら練習にならないし、もう少しやらないと。


「刺激…んッ、強い…ッ」


 声エッロ。その声聞いてると冷静さを失うよ!


 暫く頑張ったが限界が近付いたから動きを止めまた。このまま続けたら幹が樹液を吹き出てしまう。


 俺は誤魔化す為に腰を引いて紫陽花に覆いかぶさりキスをした。


「ちゅっ、ちゅ」


 すると紫陽花は俺の背中に腕を回し、離れないようにしがみついてくる。

 俺が舌を入れると彼女はいつもより激しく舌を絡めてくる。


「んんんん、んッ、んんッ」


 俺はキスをしながら背中に手を回す。指先がブラホックに当たった。それを摘んで外す。


「んはッ、んんんッ」


 紫陽花は更にきつく抱きついてくる。


 キスをやめて顔を離すと、口の周りは唾液で汚れ、綺麗な紫陽花の顔はだらしなく蕩けていた。

 彼女は口元を手で拭いて。


「お、お酒臭いです」

「あっ、ご、ごめん」


 そう言われて冷静になった。


「もう止めようか?俺反対向いて寝るよ」


 酒臭いくて不快な思いをさせていると思うと申し訳ないし、それにこれ以上続けたらシャレにならない。本当に枝が爆発する。


「……大丈夫です。……ちょっと待っていてください」


 そう言うと彼女は部屋から出ていった。

 何だろう?つかもう止めといた方がいいよな?マジで危険だって……、そうだ!寝たふりしよう。



 横になって目を瞑る。で、暫くすると紫陽花が戻ってきた。


「お待たしぇしましたぁ~。……有間さぁ~ん? 有間さぁ~ん?」


 ゆさゆさ ゆさゆさ ゆさゆさ ゆさゆさ


 俺の体、めっちゃ揺らされてる。


「先輩もう飲めません……むにゃむにゃ」

「有間さん、起きてくらしゃい。あ!じゃあズボン脱がしちゃいましゅよ~」


 喋り方おかしくないか!?

 つか、今ズボンを下げられるわけにはいかない!さっきの練習で俺のパンツが大変なことになっているのがバレてしまう!


「紫陽花……ちょっと寝てたよ」

「もう!今度は私が上れすか?」


 ろれつが回ってないぞ。もしかして……。


「お酒飲んだ?」

「はい……日本酒を一杯……飲んじゃった。これでお互いお酒臭いから、らいじょうぶ」


 らいじょうぶ、じゃないよ!ってお酒飲めるのかこの子?


「はい、やりましゅよ」


 そう言って紫陽花は仰向けで寝る俺の小枝に上に馬乗りする。

 で、腰を動かそうとするが……。


「これ……どうやって動けばいいんですか?」


 普段見ている資料だと腰を前後にスライドさせたり、上下に動いたりしてるな……。


「もう寝た方がいいんじゃないか?」

「嫌ですぅ。私もやってみたいの!」


 酒飲むと性格変わるタイプだな。しかも即効性がある。


「ダンスみたいに腰を振ればいいんじゃないかな?」

「こうかな?……あ、こうか?」


 紫陽花は腰を振り始めて直ぐにコツを掴んだようで、俺の小枝に押し当てながらリズムよく腰を前後にスライドさせる。

 めっちゃ運動神経いいんだけど、俺の彼女。


 ん?よく見るとシャツの胸先端にミニサクランボが浮いている。ブラ外したのか?


 小枝は一度枯れて小さくなったのに彼女の動きで急成長し大樹になってしまった。


 いや、え?、つか、あっ、これ、嫌、ヤバい、ヤバいって、無理、無理、無理。


「有間しゃんの……んッあッ、松茸、あッ…当たってる」


 ま、松茸ぇッ!!??

 このまま続けたら有間さんの松茸爆発しちゃう!


 俺は腰を逃がそうと上半身を起こし座った状態になった。


 すると彼女は俺に抱き着く。抱き着きながらも腰を振る。


 そしてキスをした。


「ちゅっ んっ ちゅっ んんん、んん……ぷはぁっ」


 紫陽花が俺の耳元で囁く。


「有間しゃん、しゅき……んッ、しゅき、んあッ、だいしゅき……だいしゅき……」

「俺も…大好きだッ!……ぐはッ」


 紫陽花の言葉で興奮が絶頂に達した俺は彼女を強く抱き締めながら天へ召されてしまった……。


 パトラッシュ…迎えに来たんだね……。


「びくん、びくんって……なってる」

「ご、ごめん……」


 練習試合で負けてめっちゃ凹む俺。


「えっと……その……、だ、大丈夫ですよ?」

「うぅぅ、情けない、恥ずかしいよ……」

「有間さん、可愛かったです」

「……トイレ借りるね」


 俺はやっちまったショックで凹みながら部屋を出た。





 パンツを洗ってパジャマのハーフパンツだけで部屋へ戻ると紫陽花はベットにぐったり倒れていた。


「大丈夫?」

「すみません……、き、気持ち悪い……」


 この後、介抱した。急性アルコール中毒が心配だったけど、水をたくさん飲ませて落ち着いたら寝てしまったので大丈夫そうだ。因みに紫陽花のショーパンもビチャビチャに濡れてた。


 この練習方法は危険だ。

 もう二度とやらない……。







《砂月紫陽花―視点》



 金曜日――。


 今日はバイトしながら有間さんのことをずっと考えていた。

 昨日の練習の最後……、有間さん可愛かったな。あんなふうになるんだ。今日も練習するのかな?


 休憩時間もそんなことを考えていると西君が休憩室に入ってきた。


「西君も休憩?」


 西君は中学の同級生で高校は別々だったけど、ここのバイトを高1からやっていたらしく、私がバイトを始めた時に再開した。


「ああ。……砂月、倒れたんだって?」

「まぁ、別に大したことないよ」

「ふーん、なら良かった」


 彼は美容関係の専門学校に行っている。生意気そうな顔で髪も染めてて結構お洒落だから女子から人気があるらしい。高校卒業してからは週一でバイトに来ててしかも裏方だからあまり会わない。


「俺さ、昨日彼女と別れちゃったよ」

「そうなんだ。……なんで?」

「他に好きな子ができて……付き合ってても楽しくないから振った」


 女の子ショックだろうな……、私が同じ立場だったら立ち直れないよ。

 

「そうなんだ」


「俺の好きな人……砂月なんだよね」


 彼はそっぽを向て恥ずかしそうに言った。


「嘘でしょ?私のことドングリってバカにしてた」

「それ中学の時の話だろ。ここのバイト始めてからどんどん可愛くなるし……今めっちゃ可愛いじゃん」


 好きな人がいると褒められてもめんどくさく感じてしまう。私って性格悪いんだろうな。


「私、彼氏いるし」

「え?嘘!?最近までいなかったじゃん?」

「今月から付き合うことになったの」


「まじかよ……。ここのバイトなかなか入れなくて、休憩時間に会ったら告ろうって思ってたのに……、なぁ、なら友達として今度遊ばない?美容の話とかたくさん聞かせらるし、俺かなりモテるから女の子楽しませるの上手いぜ。それに美味い店も知ってるからさ。今週の土日とかどうかな?都内に遊び行こうよ?って話聞いてる?」


 私がシカトしてスマホで有間さんの写真を見ている間、ベラベラ喋っていたようだ。


「いや全く」

「えええ!?せっかく彼女と別れたのに……なぁ遊ぼうぜ?」


 昨日別れたってことは付き合ってる時に私に告ろうとしてたってことでしょ?私がOKしたら別れる積りだったの?それとも二股するつもりだった?まぁどうでもいいけど。

 それに言い方が、何かうざい。


「とにかくそう言うことだから、無理」


 休憩時間が終わり私は仕事へ戻った。






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