山田大地の日記 8月27日

※この日記は番外編の様な扱いになります。本編4話以降にお読み頂くことを推奨。

※日記は毎日更新致しますので、更新状況は近況ノートでお知らせ致します 


 8月11日(木)

旅行から帰って、少しリフレッシュ出来たのでまたこうして日記を書き始める事にした。気持ちを吐き出すだけでも少しは楽になるかもしれないと思ったからだ。あの日以降、いつの間にか既読は付いていたけど相変わらず真尋からの返事は無い。クラス内グループはあの写真を見て以降非表示にしてしまった。嫉妬、後悔、悲嘆、劣等感。色々な感情が渦巻いてしまって見るのも怖い。真尋が抜けてしまった俺の日常とは対照的に、真尋はああして新しい思い出を作っていくんだろう。あの時の俺にもう少し勇気があったなら、こんな後悔も抱かずに済んだのだろうか。


 8月12日(金)

今日、妹が真尋の家にお土産を渡しに行って来たけど、真尋は不在で友達と旅行に行っているらしい。それを聞いて拗ねて帰って来た。妹もそれなりに真尋に懐いているので、俺達ではなく友人を優先したのが気に食わないのだろう。誰と旅行に行っているのか。また余計な事を考えて自己嫌悪してしまう。


 8月13日(土)

妹が言うには真尋は今日の夜には帰っているらしい。早速会いに行こうと言い出したが疲れてるだろうしやめておけと言った。真尋に会ったらどんな顔で話しかければ良いのか、何を話せばいいのか日々分からなくなってくる。こんな状態を妹に気付かれるのも時間の問題かもしれない。


 8月14日(日)

以前の様にはいかなくとも、せめて少しでも関係を修復したくて、真尋の家に訪ねようとしたら真尋がどこかへ出かける姿を見た。どこに行くのだろうか。着ている服も真尋の趣味とは随分違っている様に感じた。


 8月15日(月)

今日は親友のよっちと一緒にゲーセンや書店へ行き、男同士くだらない話をしたりして盛り上がった。数少ない男友達との時間がやけに心地よく感じる。明日は一緒に宿題を進めようと約束した。


 8月16日(火)

よっちとの宿題中、不意によっちが真尋の話を始めた。なんでもよっちは密かに真尋の事が気になっていたそうで、クラスのグループメッセージに送られた写真を見てショックだったとか。なんで相手が俺じゃないんだとか、それだったら諦めもつくのにとか言っていたけど、結局真尋からすれば俺はそういう対象には入って無かったんだろう。その後はあまり話す気も起きなくて、よっちには悪い事をしてしまった。


 8月17日(水)

タイミングの悪い事に、よっちはお盆が終わったこの時期に家族と旅行へ行った。仕方がないので今日は一日妹とダラダラ過ごした。妹曰く、真尋は相変わらず部活で家には居ないそうだ。


 8月18日(木)

家事をして、夕方には買い出しを済ませる。それだけの1日。当分はこんな日が続きそうだ。わざわざ日記を書く必要も無いのかも知れない。


 8月24日(水)

今日妹と買い出しに行った帰り、真尋から呼ばれた様な気がした。妹は気付いてないみたいだったけど。最近の牡丹は真尋の事を忘れたかの様に話さなくなっていて、その分俺にベタベタしてくる様になったので少し困ってる。


 8月25日(木)

昨日と同じく買い出しに行った帰りの事。昔よく真尋と遊びに来ていた公園、そこにあるベンチに2人の男女が座り込んでいた。辺りは既に暗かった為ぼんやりとしか見えなかったけど、女性の方と目が合った気がした。最近ではすっかり人気が無くなったあの公園。随分と陰鬱な雰囲気を感じたけど、あの2人は何をしていたんだろうか?


 8月26日(金)

夏休みも終わりが近い。学校で真尋と顔を合わせた時、俺はどんな顔をして接すればいいんだろうか。これまで喧嘩らしい喧嘩をした記憶も無いから全く正解が浮かばない。そもそも今の状態は喧嘩ですらないのかも知れない。高校生になって、真尋に好きな人が出来、付き合い始めた結果俺と疎遠になった。ただそれだけの話だ。下手をすればもう挨拶すら交わさないのかも知れない。彼氏でもない俺が馴れ馴れしく真尋に話し掛けるのは違うだろう。一体、俺はどうすれば良いんだろうか。幼馴染の関係なんて、こんなにあっさりと終わってしまうものなんだろうか。分からない。


 8月27日(土)

今日、友達と会うと言って出かけた牡丹が喧嘩をして帰って来た。相手の事や原因は頑なに教えてくれなかった。歳の割には大人びている牡丹が喧嘩をするのは初めてな気がするけど、何があったんだろうか?

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