第3話 始まりの日Ⅲ
「私の名前は、温海真希よろしくおねがいします」
「あ、神宮信二です。よろしく」
いきなりすぎてあっけにとられた。重苦しい空気に耐えかねたのだろうか?ともかく気を使わせてしまってるのは確かだ。辛かっただろうに。
「協力して生き残ろう。温海さん」
「はい!」
温海の返事は、とても力強かった。
何はともあれ、DAHRとかいう化け物がいる。しょぼい武器でもないよりマシだろう。それに、食料や水それに加えて消毒液や包帯などの医療品もできたら欲しい。幸い、今僕たちが話をしている家はほぼ無傷だ。その上デカい。家主には悪いが物色させてもらう。その旨を温海に伝えた。一瞬、こいつマジかみたいな冷たい視線を感じたが、納得してくれたようだ。かなり真面目で優しい子なのだろうと感じた。
「取りあえず二階を探しに行って欲しいかな」
二階なら一階より安全だろう。流石に自分より年下の子を危険にさらすのは人でなしだろう。
「分かりました。必要そうなものがあれば持ってきます」
その返事にありがとうと感謝の言葉を述べた。その言葉を聞いてから温海は階段を上がっていった。温海を見送ってから僕は一階を物色し始めた。
まず、武器がありそうと言ったらキッチンだ。大抵どこのご家庭も包丁やキッチンバサミとかの刃物が置いてある。さらに食料品も手に入るだろう。シンク下の棚には、フライパンや鍋、何より包丁があった。この包丁、おそらく高級品しかも、刃こぼれ一つない。この家の主の誰かが料理好きだったのだろう。フライパンと包丁をもらっていこう。さらに、収納棚や冷蔵庫と一階のすべてを軽く漁り終わった。色々物資は集まったが、漂う生活感と避難するときに散らかったであろう部屋から日常が崩れ去去ったことを再認識させられた。
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二階には、書斎と寝室があった。人の家の寝室に入るのは少し気が引けた。だから消去法で書斎を探している。やはりというべきか書斎には武器になりそうなものはない。最後に押し入れを開けた。驚いた、ゴルフバックがある。ゴルフクラブは武器になる。一本抜き素振りをする。
「行ける!」
ドン、っと大きな音が寝室から聞こえた。さらにドスドスと何者かの足音が書斎へと近づいてくる。
「うそでしょ。ここ、二階なんだけど」
ボソッとつぶやいてしまう。
心臓の鼓動が早まる。他人事のようにを感じる。現実を受け入れられていないのだろう。
扉の前で足音が止まった。
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