喀血卓和風伝記シリーズ「羅生門」実卓リプレイ

赤い月の魔王

第一章 晩秋の古都をゆく



GM:「喀血卓和風伝記シリーズ 羅生門」始めていきたいと思います。よろしくお願いします!!

PL:よろしくお願いしまーす!



……どうして。


なぜ私ばかりがこんなことに。どうして…。


きっとあの日から、きっとそうだ…。

あぁ、今日も下弦の月が、輝いている。


ただ小さな事を幸せと思うことも、もう疲れてきた。

でも、もうすぐ。11月1日を、今は心待ちにしていよう。



 時は2010年代晩秋、所は京都某所。暗雲はひそかに天を覆う。

水面下の陰謀を解き明かし、消えた少女の手を引き秋晴れの下へ。

集いし者たちよ、残された刃を手に糸を手繰り寄せ、くもへ手を伸ばせ。



紅葉の美しい11月15日の京都の昼下がり。

とある探索者の下に一人の女性から電話がかかってくる。


「九頭龍響を知りませんか?」


「…知っていますが。」


 知らない番号から聞こえる知らない声で、知った名前を聞いた東地拓光は訝しみながらも通話に出る。

 その声は落ち着いた声質でありながら、どこか焦燥が感じ取れた。


「あっ、失礼しました。私は…」


 電話の主は箱根神社で巫女をしているという葛城陸奥という女性だ。

 話を聞くと、拓光の友人である箱根神社の宮司の娘、"九頭龍響(くずりゅう ひびき)"が京都の大学にも行っておらず、二週間ほど行方が知れないのだという。


陸奥:「…会って話をしたいのですが、今日の19時頃、京都駅近くの喫茶店に来ていただけますか?」


何やら深刻そうで、陸奥の必死な様子から断ることも出来なかった。


拓光:「……。わかりました。19時に京都駅近くの喫茶店ですね。」


陸奥:「ありがとうございます。では、失礼いたします。」


 東地拓光(とうちたくみ)は、九頭龍響と同じ剣道場に通う警察官のたまごだ。

懐には常にタバコを忍ばせ、寡黙を貫く偉丈夫にして高潔漢だ。

影から呼ばれるあだ名は"静かなるゴリラ"。


 拓光は連絡を受け、すぐにとある探索者にメールを打つ。

 拓光には日比金紫苑(ひびかなしおん)という幼馴染の女性がいる。

昔から何かにつけて随伴するが、慎み深い小柄な女性である。

 

 日比金紫苑は東地拓光から連絡を受け同行し、喫茶店に集合することになる。電話を受けた東地拓光は、親交の深い日比金紫苑に誘いのメールを送るのだった。


拓光:『九頭龍響の件について、詳しく話が聞けるそうだが、一緒にくるか?』

紫苑:『ふぅん?……仕方ないから行ってあげてもいいけど?』

拓光:『京都駅近くの喫茶店は知っているな?そこに19時に来てくれ。』

紫苑:『わかった!!』


 メールを受けた紫苑は内容もそぞろに、親交深い拓光からのメールに頬が上気するのを隠さない。しかし、一抹の不穏が心をざわめかせるのだった。


紫苑:「(響さんのことではあるけど、拓光から連絡してきてくれるの嬉しいな…でもなんだか不穏…)」


 同じく11月15日の京都の昼下がり。

探索者の下に葛城陸奥という女性から電話がかかってくる。


???:「あの、轟さんでいらっしゃいますか?私は…。」


 葛城陸奥という彼女は箱根神社で巫女をしている女性だ。

話を聞くと、彼女の友人でもある箱根神社の宮司の娘、九頭龍響が失踪したという。


六華:「はい、京栄新聞社記者の轟です。え?女子大生の失踪事件…?是非詳しいお話をお聞かせください!」


陸奥:「ありがとうございます…!実は…」


 轟六華(とどろきりっか)は京都の新聞社で記者として働く女性だ。

小柄で小心者ではあるが内に秘める感情は強く、特ダネへの執着も強い。

今回は京の都を騒がせる事件への関連を疑い、誘いに乗るのだった。


六華:「(もしかして、京都市内で起こっている連続辻切事件と何か関係があるのかしら…)」


 響は京都の大学に通っているのだが、ここ二週間ほど大学にも姿を見せず行方が知れないのだという。電話越しの彼女の口調は切羽詰まるものを感じさせる。

 会って詳しい話をしたいので、と今日の19時頃に京都駅近くの喫茶店に来てくれるよう頼まれる。


六華:「わかりました!ではその時間にまた。貴重な情報ありがとうございます!」


 陸奥の必死な様子から断ることも出来なかった。こうして探索者達は喫茶店に集合することになる。

 同じ情報が大原のもとにも届くだろう。


蓮:「19時ですね、了解しました。」


 大原蓮(おおはられん)は京都を拠点に活動する作家だ。

フィールドワークにも旺盛に出かけるなど、精力的に活動している。

見た目はかなり軟派だが、言動や見た目よりも芯は硬派な男性である。


陸奥:「ありがとうございます、同じように協力者を募っていますので、よろしくお願いいたします…!」



 16時頃某剣道場にて――

 秋も深まり、日が傾きかける頃。

 道場には東地拓光が訪れていた。彼は、消えた九頭龍響のロッカーの前で何を思うのか。


拓光:「……。(箱根神社の人が来るなら、九頭龍の荷物を持っておくか)」


 彼女のロッカーには、愛用していた竹刀や木刀がある。

 ダンベルやなんかも置きっぱなしにされているが、それらはうっすらとホコリを被りつつあった。

 拓光は竹刀や木刀、残されていた荷物を持参した竹刀袋やボストンバッグにまとめる。彼女の残した荷物を背負うその肩には、何を感じているのだろうか。合流時間まではまだ時間があるが、拓光は京都駅へ足を進めた。


拓光:「…ふぅ…。(一部まだ残っているが、女性に持たせるには酷なものは別日にしよう)」


 喫茶店の店内は珈琲の芳しい香りで包まれている。

 立地が駅前ということもあり、仕事帰りのひと時を、新聞を読んだり珈琲や紅茶を愉しむ人たちで賑わっている。


紫苑:「はぁ…。(拓光のこと一緒に行こうって誘おうかと思ったけど結局誘えなかったな…こういうとこだよなあ…)」


 君たちはそれぞれのタイミングで来店し、最終的には時間通りに集結する。

 店内には客は君たちしかおらず、それぞれが注文したりしなかったりと、どこかそわそわしつつも事の始まりを待っていた。


GM:紫苑、湿度たっけえな…w

紫苑:負けヒロイン感すごいでしょ。響がヒロインだから名前は"ひびかな"にしたの。


 大原蓮が18時58分に来たときには、すでに全員集まっていた。


 店内を見渡せば、ガタイの良い男と大人しそうな女性のペアと、更に小柄な少々派手な見た目の女性がいた。


 19時を少し過ぎ、10分ほど経った頃。ドアのベルを鳴らす音に全員が目線を移す。

 視線の先には、巫女装束を着た葛城陸奥と思われる女性が喫茶店に慌てた様子で入ってきたところであった。その巫女装束の女性は周囲を見回した後、探索者に向かって歩いてきた。


陸奥:「大変おまたせして申し訳ありません…!…改めまして葛城です。此度はお集まりいただき、感謝申し上げます。あら?別で座ってらっしゃるのですか?」


 葛城陸奥と名乗った巫女装束の女性は服の乱れを正し、あなた達を順に見つめて丁寧な挨拶をする。


蓮:「いえいえお疲れ様です。やっぱりこの人たちでよかったんですね。顔も名前も知らなかったので…。」と三人が集まってるところに歩いていきます

六華:「あ!他にも情報提供者の方がいらっしゃったのですね!失礼致しました!…わたくし、京栄新聞社記者の轟六華と申します!」

拓光:「……。」

紫苑:「あっ…ご丁寧に、あ、ありがとうございます。」


 六華はガタッ!と、立ち上がり皆の方にパタパタと寄っていき、名乗りつつ名刺を配る。

 拓光は蒸していた煙草を消しつつ、その名刺を無言で受け取った。紫苑も拓光に続き戸惑いつつも受け取っている。


蓮:「初めまして、大原蓮です。」にっこり

六華:「この度は貴重な情報提供、誠にありがとうございます!」

陸奥:「いえ、むしろこちらが提供していただく立場なもので…!皆様、此度はよろしくお願い致します。」


 一行が一様に一通り自己紹介を終えたあと、彼女は2枚の写真をテーブルに出す。

 1枚目は、日本刀と思われる写真、2枚目は、見目麗しくもボーイッシュな印象を感じさせる女子大生の写真だ。


GM:ではここで君たちには〈歴史〉 か〈日本刀〉技能を振ってもらいましょう。


拓光:【日本刀】1D100<= 85 > 21 ⇒ 成功

蓮:【歴史】1D100<= 80 > 52 ⇒ 成功

六華:【歴史】1D100<= 20 > 93 ⇒ 失敗

紫苑:【歴史】1D100<= 20 > 6 ⇒ 成功


GM:この刀は銘を薄緑という。

 薄緑は、かの源義経が振るったとされる名刀であり、現在は箱根神社に納められ宝物殿で展示中だが、写真のものとは違い刀身はボロボロだということを知っている。

 しかし写真の薄緑は今もなお美しいのである。


陸奥:「あなた達には、響の行方の捜索、及び、この薄緑の回収をお願いしたいのです。」

蓮:「薄緑の回収…?いなくなったのは九頭龍さんだけじゃないんですか?」

拓光:「薄緑…箱根神社にある義経の刀ですね。」


六華:GM!〈図書館〉技能で同様の情報を調べられませんか!

GM:いいでしょう。どうぞ


六華:【図書館】1D100<= 85 > 81 ⇒ 成功


 では手にした最新鋭のスマホで検索する六華は、不可解な点に気付く。


六華:「あれ…?この薄緑という刀、展示中の物は刀身がボロボロみたいですが。

この写真の刀は随分綺麗ですね。この写真に写っているものは本物ではなく、模造刀か何かですか?」


陸奥:「はい、順に説明いたします。まずは、九頭龍響についてですが…」


▼響について


・11月3日に箱根の実家に一度帰省している。

・その時、陸奥は響と最後に顔を合わせた。思いつめているようだった。

・4日早朝に箱根を発ったきり行方が知れない。

・響は京都で一人暮らしをしている。

・自宅をくまなく探したり大学の交友関係を当たれば足取りが掴めるかもしれない。

・剣道のサークルに入っている。


陸奥:「続いて、薄緑についてですが…」


▼薄緑について


・神社には宝物殿に展示中の薄緑とは別に、宮司が代々保管してきた真打と呼ばれるもう一振りの薄緑が存在する。

・11月10日に箱根神社の宮司が保管していた薄緑が失くなっていることに気づく。状況的に響が持ちだしたのではないかと陸奥は考えている。

・宝物殿にある影打はそのまま展示中である。

・通常、刀は何本も作られ、最も出来のいいものを真打、試作品を影打と呼ぶ。

・真打は存在をほぼ知られていなかったので厳重とはいえない状態で管理してあった。


陸奥:「…という状態です。」

拓光:「何故、私達に?警察には連絡したのですか?」

陸奥:「…していません。」

紫苑:「なにか理由が?」


GM:多分六華なら分かる

六華:えっ、なんか情報あったっけ

紫苑:ハンドアウトじゃない?連続辻斬り事件がどうとかって

六華:あぁーね!


六華:「的外れなら申し訳ないのですが…、もしかして…連続辻切事件に関係が…?」

拓光:「……。」


 拓光は眉を寄せながら、煙草に火をつける。


陸奥:「はい…。もし、犯人でなくても、間違いなく重要参考人として、なんらかの処罰を受けるでしょうから…。それに、万が一犯人だったりしたら…。」

六華:「……!(嘘〜!?もしかして関係あるかと思って来てみたけど、本当にそうだったって事!?これは凄い記事が書けそうね!)」

陸奥:「では、私が知る限りをお話します。まず…」


・響には妹のように接してきたのでとても心配している。

・一昨日の11月13日に響の自宅を訪れたが留守のようだった。

・他にも親しい友人には連絡したが、陸奥が連絡先を調べ切れたのは東地くらいのものだった。

・連続殺人事件と響の関連性を心配している。

・刀の管理と手入れを任されていたので、紛失したことについてかなり困っている。

・他には重要なものは持ち出されていないようだ。

・宮司の九頭龍正宗にはまだ刀の紛失を報告できていないでいる。

・16日から3日間しか休みが取れなかったので期限は18日までだが、その間探索者たちに同行する。それまでに見つからなければ宮司に紛失を報告し、警察に響の捜索と刀の盗難届を出すべきだと打診するつもりである。


陸奥:「…以上が私が知る全てです。どうか、ご協力をお願いします。」

蓮:「宮司さんには響さんの失踪自体も報告してないんですか?」

陸奥:「はい。していません。」

紫苑:「な、なるほどぉ。」


 紫苑は思っていたよりも壮大な話であったことに驚愕しつつ、身の置き方を模索し拓光を見上げる。


六華:「確かに、失踪してしまった時期と辻切事件の時期が被っていますね…。」

陸奥:「十中八九何らかの形で巻き込まれているとは…信じたくはないのですが…。」

拓光:「それで、何から始める予定ですか?」煙草の煙を吐きながら葛城に聞く


紫苑:「(というか響さん、ガチめに失踪してるんだ…結構ヤバい話なんじゃないの?詳しく聞けるとしか言われてなかったんだけど!!)」


陸奥:「大学はもう時間が遅いですし、まずは一緒に響の自宅へ行ってもらえないでしょうか?」

拓光:「わかりました。(…ダンベルも持ってくりゃあ良かった…)」

六華:「ですね、善は急げです!さっそく行きましょう!」


GM:こうして君たちは探索を開始するのだった。

紫苑:ここまでが導入?

GM:そう

拓光:めっちゃしっかりしてるんだな

GM:めちゃめちゃゆっくり丁寧にやってるからね

六華:たすかる~

GM:というわけで次回、響の自宅から。

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