第69話 女の父親と不審者?

第69話


「良い湯だな、此処………」

「凄いよね、お父さん。いや、お母さん?」

「今は女の身体だけど、一応はお父さんだぞミリスちゃん。」

「確かに………」


大百足との戦いの後、俺はユンの所でノンビリしていた。


大百足が深層の半分以上の土地やモンスターを目茶苦茶にしたせいで、色々とゴチャゴチャとしてるので、家に帰れなくなったのだ。


アイツ等、今頃汗水垂らして工事してると思うと、こんなノンビリするのは何か申し訳ないな………


やっぱり、手伝いに行こうっと………


「はぁ、疲れました………」

「おっ、お帰りユン。」

「お疲れ様、ユン。」

「ああ、父上様にミリスお姉様。入ってたのですね………」


疲れた様子のユンが、風呂場に入ってくる。


どうやら、相当疲れたらしい………


「いやぁ、この世界の記者は面倒ですね。」

「まぁ、お前の世界のマスコミは雑魚だったからな………」

「スライムとドラゴン位の差がありますよ、本当………」


カメラとかTVとか無いし、こういうのは新聞しかなかったからな………


しかも、信憑性はほぼ皆無って広まってたから、奇特な購読者しか居なかったし………


「私も色々聞かれた………」

「大丈夫だったのか?」

「うん、適当に流した。」

「小学生でそれが出きるのか………」

「まぁ、何か有ったら私達に言ってくださいね?権力の全てを使って潰しますから。」


気持ちは理解わかるが、怖い顔するなよ、ユン?


お前、悪徳政治家みたいな顔してるぞ?


「しかし、何で内緒にしたんだ、ユン?」

「ああ、私と父上様との関係ですか?まぁ、時期尚早だと思ってるからですよ。」


どうやら、俺が寝た後にユン達が爆弾発言をやらかしたらしい。


で、親子関係である事がバレてしまったとの事で、色々と面倒な事になったらしい………


まぁ、アリスとの事も有ったからな………


それ以上の事は内緒にしたらしいが………


「俺は別に話しても良いんだぞ?どうせ、俺なら大丈夫だろうし………」

「色々と考えている事があるんですよ。父上様も多分それで良かったと思う結果になると思いますよ?」

「そうなのか?まぁ、お前の好きにしろ。何か有っても絶対に助けてやるから。」


────いや、でも、リンに似てたら絶対に何かやらすよな、コイツ!?


お願いします、俺に幸運を一度も齎した事のない神様へ………


どうか、何事も起きません様に………


「ありがとうございます!まぁ、大丈夫だと思いますよ。私もアリス義母上様もしっかりと『家庭の事情に突っ込まないでください』って言いましたから。」

「アレ、俺には脅迫にしか聞こえなかったんだけど………」

「正直、私も怖かった………」

「そうですか?私はだけなんですけどね。」


そういう所、リンにソックリだよ………


「まぁ、でも、権力って本当に大切だなって思いました♪」

「「こ、怖ぁ………」」


悪徳政治家みたいな事を言い出したぞ、コイツ!?


ミリスちゃんがちょっとビビっちゃってるじゃん!!


「それにしても、父上様も乳って目茶苦茶大きいですよね………」

「あっ♡お前、話の逸し方雑過ぎだろ!!」

「うわっ、私の父上様の胸、柔らか過ぎ!?」

「本当だ、お母さんより柔らかい!」

「きゃっ♡み、ミリスちゃんも止めっ!!」


くっ、同性でもセクハラは成立するんだからな!!


だから、もう胸を揉むのは止めて────


☆☆☆☆☆


「酷い目に合いましたね………」


はぁ、異世界でもアリス達に似た様な事をよくされましたし、血はマジで争えないってこういう事なんでしょうね………


話し方が違う?


ふふ、私って女装が好きなので、全力でやるタイプなんですよ。


まぁ、プライベートは別なんですけどね♪


「異世界みたいにナンパとか、またされちゃうんでしょうか?」


でも、あの時にみたいにメイド服を着ちゃってるから、話しかけられないかも?


ふふ、どう転ぶか楽しみですね………


「相変わらず、倒錯した趣味をしてるんだなお前。」

「はい?」


あら、知り合いみたいな体で話しかけられましたね………


────ナンパ、でしょうか?


しかし、話しかけてきた人には見覚えが全くないのですが………


というか、女性ですよね、貴方?


「すみません。私、女の人が好きですけど、そういう趣味は無いので………」

「いや、お前、凄い変な事を言ってるぞ。ちゃんと国語勉強しろよ………」


くっ、酷い方ですね………


いや、まぁ、変な会話になったのはそうなんですけども、私って異世界に転移させられたせいで中卒状態なんですよ?


「はぁ、これだけ話しても気が付かないとはな、呆れたぜ………」

「────叫びますよ。」

「止めてくれる!?まるで、俺が不審者みたいじゃないか!!」


いや、見事に不審者さんですよ?


可哀想な人、自分を客観視する事が出来てないのですね………


頭を治療して差し上げたいのですが、生憎私はそういう魔法が全く使えないので………


「ごめんなさい、見知らぬ貴方。私は駄目に効く魔法も薬も無理なんです………」

「酷くない!?やっぱり、お前のそういう所大好きだよ!!」


えっ、怖ぁ………


ドMな上に、恥知らずなストーカーの方なのでしょうか?


しかも、いきなり告白とか………


そういうのはちゃんとお互いを知ってからする物ですよ?


「────本当に気が付いてない様だな。仕方がねぇなぁ、お前はよぉ………」


そう呟いて、彼女は大きく溜息を吐く。


だが、直ぐに激しく天を見上げ………


────どうでも良いですけど、激しく動いたせいでパンツ見えてますわよ?


「俺はEX探索者の万桜まお 玲奈れいな!」


万桜 玲奈?


いや、まさか────


「そして、俺の前「鳳凰紅蓮脚!!」ちょ!?」


はぁ、最悪だ………


────まさか、貴方が居るとは思わなかったわ。


「お久しぶりですね、魔王レイナ。」

「痛たたた………おう、久しぶりだな!会えて嬉しいよ、勇者シン!」

「私は全く嬉しくないですけどね。」


続く

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