第49話 スパルタ勇者
第49話
あの後、ポンコツになったユンを何とか元に戻し、特訓場所へと連れて行って貰う。
その場所とは………
「此処が新宿の深層………」
「動画で見るのと、生で見るのとじゃ、やっぱり違うわね………」
「私達じゃ敵いそうにないモンスターばかりですね………」
「後で浦島さんの家に遊びに行って良いですか?」
────新宿ダンジョンの深層第1層、草原エリアである。
此処は広いし、此処に居る奴等程度なら楽に彼女達を守れるからな………
「さて、早速特訓を始めようと言いたい所なんだが、俺は月ちゃん以外をよく知らない。先ずは自己紹介から始めようか。」
「はい、鏡花水月の
「私は鏡花水月の花担当!
「私は
「浦島さんの知っての通り、私は
「よし、覚えたぞ。ありがとうな。」
しかし、個性的だな………
まぁ、そうじゃなきゃ、アイドルグループみたいな感じな事は出来ねぇか………
「皆は普段どんな戦い方をしてるんだ?」
「私が基本的に近接戦闘兼司令塔ですね。花と月が弓や魔法による遠距離攻撃、水が防御魔法や治療魔法での後方支援という感じですね。」
そうか、バランス自体は良さそうだな………
4人のチームなら、異世界でもこんな感じだったしな………
だが、何故か違和感を感じる………
────いや、今は良いか。
「じゃあ、早速俺と戦おうか。」
「「「「え?」」」」
「スキルも魔法も武器も使わない俺に、君達の全てをぶつけてみろ!」
☆☆☆☆☆
鏡side
その後の戦闘は悲惨な物だった。
実力差があるのは動画を見て知っているつもりだった。
だが、彼の強さは想像を逸していた。
「〘
「もっと魔力を練って撃たないと簡単に弾かれるぞ、月ちゃん!」
「ま、また拳で弾かれたよ………」
月の魔法は簡単に彼の拳によって弾かれていく。
本当に生身の身体なのだろうか?
普通、虫を叩き落とす様な感じでペチッとして弾ける様な物じゃない筈なのに………
「花ちゃんは、2手や3手先を読んでるだけじゃ、その先を読んでくる奴には当たらねぇぞ。もう少し考えて矢を放て!」
「うわ〜ん、社長と同じ事を言ってる!!しかも、社長と違ってインチキしてないのに!!」
花が放つ弓もほんの少しの動作でヒョイヒョイと避けていく。
それに、ちょくちょく避ける時にコサックダンスを挟むのは何かのギャグのつもりなのだろうか?
上手いですね、ダンス………
「水ちゃんは防御魔法を張るタイミングはかなり良い。ほぼ完璧と言って良い。だが、破られた時の策への移りが遅い!モタモタしてたら、直ぐに大事な仲間を失うぞ!!」
「うぅ、正論………」
正論ですが、素手で防御魔法を硝子細工みたいにパリンパリンと割られたら、反応が遅れますよ………
いや、言い訳でしかありませんけど………
「最後に鏡ちゃん!君は太刀筋も良いし、剣に関しちゃ凄い才能を感じるよ。正直、俺にもその才能を分けて欲しいくらいだ!」
「お褒めに預かり、光栄です。」
その私の剣を手刀で捌いている癖に、何を言っているのでしょうか、この人は?
でも、嘘を付いてないのがスキルで
「だが、お前は少し積極性が足りないな。」
「積極性?」
「何が何でも倒そうって気概だよ。」
そんな事を言われましても、コレは特訓ですし………
「どんな状況でも、常にその気でやらないと肝心な時に駄目になる。お前は、俺達はリーダーなんだからな。」
「………肝に銘じておきます。」
そういう事ですね、確かにその通りです。
流石は勇者様?と言った所でしょうか………
「まぁ、大体はお前らの状況を把握したよ。お前ら4人でなら下層は行けるだろうが、深層は普通に無理だな。」
「でしょうね………」
この人に特訓して貰えるとしても、どれ位掛かるのでしょうか?
はぁ、嫌になりますね………
「………だが、光る物はある。それに、良い物を見せて貰った。」
何をでしょうか………
────はっ、まさか!?
「汗水したたる良い女の子達が見れてありがとうって事ですか!?」
「バカ娘みたいな事言ってんじゃねぇよ、鏡ちゃん………」
失礼な、私は社長みたいに脳内ピンクのエロフではありませんよ?
「では、何を?」
「君達の姿を見てると、異世界で勇者一行してた時を思い出してな。特に、雰囲気がアリスが加入する前にそっくりで、懐かしい気分になっちまったよ………」
あの4人での旅は楽しかったな………
辛い事の方が多かったけど、今思えば良い思い出だ。
「だから、少しだけ礼と言ってはなんだが、少しだけとっておきを見せてあげよう。」
「とっておきですか?」
「ああ。だが、少しだけ覚悟した方が良いと思うぜ?」
「何を?」
「此処から先は、俺の
月の真似ですか?
何か似合ってますね………
「さぁ、塗り替えろ、〚
続く
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