第13話 ダンジョンの掟

第13話


浦島side


ルナと下衆野郎が戦い始める少し前、第2階層で彼女の配信をモンスター達と見ていた彼はというと………


「行けっ、其処だ!魔法を撃て、月ちゃん!」

『そこだ、雑魚共を蹴散らしちゃえ!』

『ふむ、筋は良さそうだね………』


大分、配信にのめり込んで居た。


後から持ってこられた酒の影響もあるのだろうが、モンスター達からも好評だった。


「いやぁ、外じゃ今はこんな事をする時代になったんだな!」

『僕のガワになった女の子の時代でもこんな事はしてなかったからね、時の流れを感じてしまうよ。』


お前さんのガワ、死んだの30年位前の話じゃなかったか?


言ったら酷い目に合いそうだから、言わないけどさ………


『はは、正解だよ。』

「ナチュラルに心を読むなよ、人間ジンカン………」


お前はラブコメのヒロインか?


『そういう性質だから、仕方がないだろう?私は由来も能力の性質も人依存だからね。』


厄介だよな、それ………


本人からしたらピーキー過ぎるんだろうが、強さに幅があり過ぎる。


それに、コイツは現在進行系で強くなってるからな………


『ん?』

「どうした、何かあったか?」


酒を飲んでいる手を止め、人間ジンカンが上の方を向く。


それだけなら良いが、身体から闇属性のオーラまで垂れ流し始めた。


おいおい、臨戦態勢じゃねぇか………


『どうやら、ルールを破った不届き者が居るみたいだね。』

「へぇ………」

『気にならないのかい?』

「別に、自業自得だろ。」

『私はよ?』

「好きにしろ、止める意味も理由も俺には皆無だ。」


自業自得な奴を守る程、俺は優しくない。


『そうかそうか、君はそういう奴だったね。』

「俺は夏の日の思い出な少年じゃねぇぞ?」

『ふふ、懐かしいね。でも、一応は着いてきた方が良いと思うよ?』

「何でだ?」

『多分、異常発生スタンピード起こすから。』

「はぁ!?」

『後始末、宜しくね♪場所は中層だから、先に行ってくるよ。』


そう言い残し、彼女は影へと溶け込んでいく。


あのクソアマ、それを先に言えや!!


ていうか、その移動方法ズルいな、おい!!!


「ちくしょう、〘3重加速トリプル・ブースト〙!!」


間に合えよ、こんちくしょうが!!


☆☆☆☆☆


月side


目の前には、スーツ姿の綺麗な女性が立っていた。


でも、明らかに普通の人じゃないのが心の底から理解わかってしまった。


この人から発せられる重圧、浦島さんが雑魚扱いしてた深層のモンスター以上だ。


まるで、ボスの様な………


「お前、誰だい?馬鹿な正義感でも出して、僕の餌食にでもなりにきたのかい?」

『はは、面白くないジョークだね。僕は正義感じゃなくて、義務感で此処に来たんだ。』

「義務感?」

『ああ、僕は君を裁きに来たんだ。』


そう言った瞬間、彼女の周りに巨大なクモ達が現れる。


き、気持ち悪いよぉ………


『カースクロウ君達、私の後ろに居る彼女を守るんだ。このクモ君達が出す瘴気は、人にとっては猛毒だからね。』


あのクモ、確かに変な煙を至る所から出してる………


存在するだけで害を及ぼすタイプのモンスターだね………


「ゴホッゴホッ、ちくしょう。お前、テイマーか何かか!?」

『テイマー?いや、違うよ。昔はバリバリ剣士な戦闘職さ。今はまぁ………』


彼女が手を掲げたのと呼応するかの様に、周囲の影から真っ黒な手が現れる。


────まるで、下衆なあの男を引き摺り込みたいかの様に、無数にも。


『モンスター、人間という名の怪物、人間ジンカンをやっている花見月はなみずき カレンだ。』

「はぁ、モンスター!?お前が!!??」

『地獄に落ちたとしても、私の名前を覚えていてくれよ、下衆野郎♪』


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る