第10話 トラブルは連鎖する

第10話


月side


「はぁ、大変だったなぁ……」


私は数時間前の出来事を思い出しながら、そう漏らす。


あの変な仮面を着けてた浦島さんのお陰で私は助かった。


しかも、深層の凄さをこの目でハッキリと見る事が出来た。


「あの場所へ行くに、私はもっと強くなきらなきゃ!」


強くならなきゃ、私はあの人達に………お母さんやお祖母ちゃん、曾祖母ちゃんに追いつけない。


「もっと、もっともっと、頑張らなきゃね♪えいえいおー♪」


おっと、配信も頑張らなきゃね♪


明日は何処に行こうかな?


今日は偶然だけど宿に行っちゃったし、渋谷ダンジョンの方にでも行ってみようかな?


☆☆☆☆☆


次の日、私は色々と考えて昨日と同じ新宿ダンジョンの方へ来ていた。 


何となく、その方が良い気がしたのだ。


「こんにちルナ♪視聴者の皆さん、昨日は心配かけてごめんね♪」


:こんにちルナ♪

:無事で良かったよ、ルナちゃん!

:あの変な仮面の人は居ないの?

:居なくて良いだろ、あんなの………

:まぁ、男(声的におそらく)が混じるのはなぁ………

:助けてくれたのは嬉しいけど、正直………


「変な仮面の人?ああ、浦島さんだね♪あの人は多分深層に帰ったんじゃないかな♪彼は此処に、10年くらい住んでるって言ってたし♪」


:そういや何かそんな事言ってたな………

:普段なら嘘乙なんだけどさ、あんな一軒家を見せられたらもう、ね………

:説得力の塊過ぎて草はえるんよ

:何か最後の最後にダンジョンの番人説が浮上してきたしな

:男の話はもう良いから、ルナちゃんのダンジョン配信見せてよ!


「あっ、ごめんね♪じゃあ、今日は新宿ダンジョンの中層攻略を配信します♪」


そうやって、攻略を始めてみたのは良かったんだけど………


「あれれ?モンスターが全く出てこない?」


:確かに出てこないな………

:寂れた商店街みたいな静けさだな

:普段なら嫌と言う程に湧いてくるアサルトコボルトも全然出てこない………

:ダンジョンで何が起きてるんだ?

:まさか、異常事態イレギュラー!?


「確かにそうかも………」


異常事態イレギュラー、それはダンジョンで極稀に起きる現象。


モンスターが出なくなったと思ったら急に湧き出してくる異常発生スタンピードが起きたり、本来なら現れない強さや種類の敵が階層のレベルを無視して現れたり、階層を越える事に別のダンジョンへ行ってしまったり………


この様に普段のダンジョンのルールが歪むのが異常事態イレギュラー


もしかしたら、あのブルトリア・ロックが現れたのも異常事態イレギュラーだったのかな?


「視聴者の皆、ごめんね♪今日の配信は此処でおしまいしちゃうね♪もしかしたら、ダンジョンで異常事態イレギュラーが起きてるかもしれないし、ギルドに報告に行くね♪」


:これはしゃーない

異常事態イレギュラーは直ぐに対処しないと面倒になるもんね………

:下手したら、ダンジョンの外にモンスターが出る事もあるしな、異常発生スタンピードだけに限るけど

:もしかして、あの変な仮面の仕業じゃ?


「ラッキー♪良い、獲物みっけ♪」


あれ、他の探索者さんも居たんだ。


早く、異常事態イレギュラーの事を伝えてあげないと!


「すみません、そこの探索者の人!ダンジョンで異常事態イレギュラーが起きてるかもしれません!気を付けないと危ないですよ!」

「へぇ、尚更ラッキーじゃん♪」

「へ?」

「どんな事が起きても、モンスターのせいに出来るからなぁ!」


続く

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