花を焦がす
仲仁へび(旧:離久)
第1話
女の怪物は、花を大切にしていた。
なぜならその女は、人間と触れ合う事ができないから。
友達は花だけだから。
怪物はその世界では、一人ぼっちだった。
他の怪物はいなくて、周りにいるのは人間ばかり。
だから怪物は、花をとても大切にするしかなかった。
傍にいても、遠ざけられないのは花しかなかったから。
人間は違うものを受け入れないから。
動物は、本能で怪物からどおざかってしまうからだめだった。
そんなばけものは、ある日家を留守にした。
狩猟と採取で食べ物を確保するためだ。
怪物はとても強かった。
だから道具がなくても、それらをたった一人で行える点は便利だった。
一週間分のたべものを確保して怪物は帰った。
しかし、家は燃えていた。
誰が燃やしたのかは分からない。
中に怪物がいると思ってなのか、いないと分かっていて嫌がらせなのか。
それも分からない。
ただ、怪物は花の事だけを考えて飛び込んだ。
そして、開いていた窓から花を外に出した。
花は焦げていたが無事だった。
花の命が尽きなかった事に安堵していた。
その時、怪物は「自分には花しかないから、花といたのではなく。花が好きだから花といたのだと気が付いた」
自分は終わってしまうけれど、花の無事を喜べた。その事に怪物は安堵して、燃え尽きていった。
花を焦がした者達は、遠くからその様をみて呟いた。
花なんてものを守るために、燃え盛る家に飛び込むとは理解できない行動だ。
やっぱりあれは怪物だ。
と。
花を焦がす 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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