第282話トロッコ

 各自の方針も決まり今日は解散することになり俺達は拠点に戻るために、拠点へと繋がる連絡通路に向かった。


「あっこれが例のトロッコですね?乗っても大丈夫でしょうか?別に歩きでも大丈夫ですよ」


 マリアは不安げな顔をしながらこちらを見つめてくる。


「大丈夫です。しっかりと改良を施して安全かつちょっとだけスリルある乗り物になったです」


「ディスちゃんそのスリルはいらないと思うのよ、安全に乗れたらそれでいいのよ」


「わかってないですマリアお姉ちゃんは、これは乗らないと分からないから仕方ないですね。さー皆乗るです、そしてトロッコを楽しむです」


 ディスの勢いは止めることが出来ず皆恐る恐るトロッコに乗っていった。ちなみに俺も作成には関わっていたので乗ったがまーギリギリ許せるだろうと判断して今の形になったが試作一号機から四号機までは完全にアウトだった。今思い出すだけでもスリルではなく恐怖を感じる。


「ナイト様試作一号機完成したですから試して欲しいです」


「お〜さすがディスだな、それじゃぁさっそくレールを固定して試運転といこうか、それにしてもこれだけのレールよくこの短時間で用意出来たな?」


「ふふふ、これはですねリザが頑張ってくれたのです。完成品と素材があれば同じ形を作ってくれる魔道具を作ってくれたです」


 どうやらリザが作ったのは3Dプリンターの更に上位版みたいなものらしい。凄いなこれは、これがあれば色々楽になるだろうな。


「なるほど、ディスがしっかりした完成品を作ればあとは量産可能なわけだな。これは、必ず使えるから更なら改良と量産を頼まないとな」


「ナイト様もやっぱりそう思うですか?ディスもこれは凄いと思うです。リザには頑張って欲しいです」


 とりあえず100メートルほどレールを轢いてその上にトロッコを乗せる。よし、車輪とかのズレも無さそうだな。それじゃ2人で試運転だ。


「では発進するです。スタートする時はこのスイッチを押すです、押すと搭載してある魔石が反応してポチッかしょくーぐぎゃ」


ディスがスイッチを押した瞬間爆発的にスピードが上がり止める暇もなく発進いや発射され用意したレールを越えて吹っ飛んでしまった。


「うー失敗したです。設定のバランスの見直しが必要です。ナイト様大丈夫ですか?ごめんなさいです」


「いや、大丈夫だ。ディスは無事か?それにしても、凄いスピードだったな。試運転で良かったな、よし試作はどんどんして完成を目指していこう。出来上がったら必ず呼ぶようにな。決して一人で試運転なんてダメだからな」


「分かったです。完成したらちゃんと呼ぶです」


そうして、失敗を幾度も繰り返して完成したのが今のトロッコである。その失敗を知らないみんなはどう反応するかちょっと楽しみである。


「では行くです、スイッチ・オン」


ディスの声と共にトロッコは発進して徐々にスピードを上げていく。そのスピードは予想より速かったのか女性陣は悲鳴を上げていくがディスは逆に楽しそうに笑い声をあげている。


 その後無事事故は起きることなく拠点にたどり着いたが女性陣はディスを除いてぐったりしてしまった。


 

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