第275話暴走

 ユリウスの依頼も終わり数日後闘技場に顔を出してみるとそこには大変機嫌のいいユリウスがいた。


「おーナイトかいいとこに来たな、お前のおかげで最近は体が軽くてな調子が良くてな」


「それはよかった。気になるところがあったらいつでも言ってくれ」


「それはそうとお前らあの噂はきいてるか?」


「噂とは?なんかあったのか」


「それが、以前に人気の無いとこで襲われるということがあったんだが、最近は所構わず何者かが人を襲っているらしい。ただその襲ってくるタイミングなどは法則性もなくいつ来るか分からないのが厄介なとこでな」


 そんな話をユリウスから聞いていると周りが一気に騒がしくなり始める。一体どうしたのかと周りを伺っているとユリウスに駆け寄ってくる影が見えた。


「ユッユリウスさん大変だ、あいつがあいつが現れて無差別に周りにいる奴らを襲っていやがる」


「落ち着けザック、お前が見てきたことをゆっくりでいいから教えてくれ。お前の持ち帰った情報は今一番重要なんだ、襲っているのは例のやつで間違いないんだな?」


「多分そうだと思う、元々正確な姿を見たやつはいないから断片的な情報だけだがやつに違いないはずだ」


「無差別にって話していたがそれは狙ってなのか、それともまともな精神状態でなく暴れているのかどちらか分かるか?」


「あれはまともなやつの動きじゃねー、言葉にならない叫び声を上げながらやつは目に映るものをとにかく攻撃していたんだ。早く行かないと死人がでちまうかもしれねー」


「まったくナイトのおかげでいい気分だったのに迷惑な野郎だ。よし、今この場にいる中で動けるやつはついてこい、数は一人なんだ。いくら強かろうがここにいるやつらの力を合わせれば負けることはないはずだ。それと、戦いに参加出来ないものは倉庫にある治療薬をありったけもってこい、絶対に死人を出すな。怪我をしているやつを見つけたら遠慮なく治療薬を使って避難させるなり戦いに参加してもらうなりしてくれ」


 ユリウスの素早い判断でどんどんやることが決まっていき一気に闘技場全体が慌ただしく動き出した。


「ナイトお前もすまないが戦闘に参加してくれ、お前の実力があれば」


「もちろん参加させてもらう。それに、もしかしたらその相手はこちらと因縁のあるやつかもしれないからな」


 俺の予想では暴れまわっているのは、マーケドックの馬鹿野郎でおそらく強欲スキルの暴走とかその類であるんじゃないかと考えている。今までも人気のない場所で人を襲いながら強欲スキルでスキルを奪っていたみたいだからな。

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