ユリウスに俺たちは案内され闘技場を出ることになったが俺たちの後ろではサリーさんに説教をされながら土下座で治療を受けるザックを跡目に闘技場を後にした。

「さて、三人には後ほど闘士の証明をするカードを渡すので少々待ってほしい。それで、ティナ様はどうしてこのような場所に？王都でなにかあったのですか？」

「王都では何かあったわけではないのですが……その〜」

「ふむ、何やら事情がおありのようですな。それならば私もこの闘技場の支配人をしている身です。それなりに情報を得ることが出来ますが役に立つことは出来ませんかな？」

　ティナは俺を見てどうすべきか悩んでいたが、一瞬顔を伏せた後、なにかを決意した目でユリウスに深いところは伏せながら情報を整理しつつ先日の出来事を話した。

「なるほど、大罪スキルが再びこの世界にですか、でしたらティナ様が光の聖女である可能性が高くなりますな。なにせ正真正銘の光の聖女の末裔ですからな、大罪スキルの復活の兆しと共に光の聖女としての血が目覚めたのかもしれません」

「まだ自覚はありませんし、どうしたらいいかは分かりませんが、もし私が光の聖女としての力を持っているのならばその力を発揮出来るようにこれからも努力を続けます」

「そうですな、何かあっても大丈夫なように鍛えることは大事です。幸いこの場所は戦う相手に不便することは無いでしょうからいくらでも己を高めてください。それで皆さまは最近流行っている噂は御存知ですか？」

「人気のない場所で襲われている人がいるというやつですか？」

「その通りです。最近では実力がある名の知れた闘士も犠牲になっていたりと中々物騒になってしまい我々としても困っているのです」

「その件なんですが、犯人に当てがありまして、あくまで可能性の範囲なのですが。王都からも色々サポートもあるので必ず今起こっている騒ぎは近い内に解決出来るかと」

「それは頼もしいですな、私も出来る限りサポートしますのでなにか困りごとがあればおっしゃってください。」

　俺たちは、ついてすぐになんとも心強い助けを手に入れることが出来たのだった。

そんなふうに話していると、急に周りが騒がしくなり犬らしき獣人が部屋に飛び込んでくる。

「しっ支配人たっ大変です。スラムの一部のバカ共がドワーフのガキと人族の二人にちょっかいを出したあげく手痛い反撃を食らって、その仕返しにと仲間を集めてどんどん騒ぎがデカくなって俺たちじゃ手が負えません、ゲホッゲホッズズ」

ドワーフのガキと人族の二人ってどんぴしゃのキーワード過ぎて聞き流したいがそんなわけにいかないよな。それに目と鼻の症状にも身に覚えがあり過ぎてどうしたものか

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