第247話シルキーの部屋から

 みんなで誓いを立てた後マリアは率先して動き出し始めた。


「お母様の部屋に今後の旅に役立つ資料があるかもしれないので私見てきますね」


 マリアは、俺達の返事を待たずに駆け出し屋敷に入っていくと入れ替わりにセバスがこちらに駆け出してきた。


「ナイト様おかえりなさいませ、まさかマーケドック様が来られるとは思わず何も出来ずに申しわけありません」



「いや、みんなに何もなくてよかった。やつの力は未知数だがかなりの実力があると見て間違いないだろう、そんなやつに対して無事に乗り切ったんだからそれだけで充分だ」


「ありがたきお言葉です。これからも皆様の帰る屋敷を守れるようここにいる一同誠心誠意務めていきたいと思います」


「ありがとう、でも決して無茶だけはしないでほしい。みんなの命の方が大事だから逃げることを責めるつもりはないから」


 セバスは深いお辞儀をして再び屋敷に戻っていった。



………お母様、絶対ナイト様とみんなで力を合わせてお母様を助けてみせるから待っててね。さて、お母様は色々調べてまとめていたから何か役立つものもあると思うけど、どこから調べていこうかな?お母様が、書類などをまとめている所を見逃しがないように一つずつ確かめていくすると随分汚れているが大切にファイルされたものを見つける。


「……これはいったい?……」


 マリアを見送るだけしか出来ないなんて情けないな。もっと俺がしっかりしていたらシルキーだってあんな目に会わなくてすんだかもしれないし。さて、これからはシルキーが色々助けてくれるわけじゃないから気を引き締めていかないといけないな。マリアも、無理しないように後で様子を見に行くとしようかな、実の母親が目の前でやられてしまって影響が出なければいいが


 私にもっともっと力があればシルキーさんを助けてあげることができたかも知れないのに、無力な自分が今ほど情けなく悔しいと感じたことはありません。……シルキーさんを目覚めさせる時は万が一がないように私も鍛えていかなければいけませんね。


 今後のことを考えているとどこからかバタバタと騒がしく近づいてくる音が聞こえて来て、段々とそれはこちらに近づいて来てるように感じて様子を確かめようと部屋のドアを開けるとぐへっとなんとも痛そうな声とものすごい衝撃にドがんっと当たる音が聞こえた。恐る恐るその声と音の元凶がなにか見てみると額を赤くしながら倒れているマリアがいた。


 うわっ元気が無いよりはいいがまさかこんなマリアを見ることになるとは、とりあえずティナを呼んで真っ赤になった額を治療してもらおう。


「う〜申しわけありません。つい、みなさまに早く知らせた方がいいかもと思い慌ててしまいました」


「いや、こちらも不用意にドアを開けてしまってすまなかった。額の方は大丈夫か?かなり赤くなっていたが」


「大丈夫です。ティナ様にしっかり治療していただいたので、ティナ様ありがとうございます」


「本当にびっくりしたんだからね、まったくも〜ナイトからマリアが倒れたと聞いて、もしかしてなんかあったんじゃないと考えちゃったんだから」


「ははっ……本当に申しわけありませんでした」


「それでそんなに慌てて見せたかったのは一体なんなんだ?」


「それがですね、お母様の部屋を色々調べていたらこんなものが見つかって」マリアが持っていたファイルを見せてもらうとそこには


『大罪スキルと光の聖女』と書かれたファイルがあった。

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