高校辞めました、理由は本気でダンジョン配信者を極めようと思ったからです
熊の手
第1話 高校辞めました
よくトゥイッターなどでこういう構文を目にする。
「高校辞めました。理由は本気で〇〇を極めようと思ったからです。」
俺はこの構文を見た時にふと思った。
「これは構文だからネタでしか言ってるやつはいない。これで極めて本当に売れたら面白いんじゃないか!?」
そう、俺こと
つまり決定権は全て俺にあるということである。
そう思った俺は今まで貯めていた貯金を引き下ろし、配信機材を買い集め、その足で高校中退の書類などを書いた。
この時はこんなに大事になるとは思っていなかったのである。
こんなに、こんなに注目されるとは。
とりあえず俺は機械に強い友人に通話をかけた。
「もしもし?彰人、今大丈夫そ?」
「どうしたよ西成。こんな夜中に」
そう、時刻は夜の1時、はっきり言って迷惑電話である。
「俺ダンストになろうと思うんだけど手伝ってくんね?」
「ダンストってあのダンスト?ダンスインストラクターとかじゃなくて?」
数十年ほど前に突如として現れたダンジョンを自身の魔法やスキルでクリアする様子を配信する人の事をダンスト、ダンジョンストリーマーと呼ぶ。今では世界中の娯楽要素でありすごい影響を持つ職業でもある。
「お前機械強いじゃん?アカウント運営とかできん?」
「できねぇことはねぇけどさ。まぁやるならとりあえず昼にでも機材見るからそれ持ってうちに来てくれ」
「え、ダルいから自分で来いよ…」
「お前俺に頼んでる立場なんだよな?」
「お前のパソコンの機材届いたんだけどなぁ!俺だったら落として壊すかもなぁ!」
「汚ねぇぞ西成!もういいよ!俺が行くわ!」
「おけおけ、十時間後にまた会おう」
運営係確保である。脅しとも、物で釣ったとも言います。
◆――昼
「おい!起きろよ!」
んぁ?誰だよ…なんで家に人が入ったんだ…?
「おい!お前が呼んだんだろ!はよ起きろやボケ!」
あぁ、そういや寝る前に彰人が来ても入れるように開けといたんだった…
「彰人…うるさい…」
「お前の黒歴史をネットの海に流してやろうか?」
「オーケー、一旦冷静になろう」
俺の経験上こいつは本当にやるし話題にさせることも容易いのである。
「んで?機材どれよ」
「ん、あそこに置いてるやつ。適当に飯でも作ってくるから見といて」
「俺飯な。わざわざ来たんだから無くても米炊けよ」
「はいはい、面倒くさい親友なこって」
キッチンに向かい適当に飯を作りドアを蹴って彰人の前に出す。
「早くね…?まだ5分くらいしか経ってねぇじゃん」
「だっておかずと飯以外ほぼ出しただけだもん」
飯は前日に作ってすぐに食べれるようにするタイプなのである。
「ちなみにおかずは?」
「角煮」
「重…」
「は?お前そんなんだから細いヒョロガリなんだよもっと食えや」
角煮美味いだろ!何が重いだよ!わざわざ作ったのによぉ!
「んで?機材どう?」
「正直に言おう、お前こんな金どこから持ってきた?銀行強盗でもやったか?」
「ちゃんと自分で稼いできたわ!」
確かに結構機材高かったけどそこまでだろ!トータル百万行かないくらいだぞ!
「どこでだよ!お前働いてる様子なかったじゃねぇか!ニートが幻覚でも見てんのか!?」
「ダンジョンに決まってんだろ!」
「…は????」
何その反応
「何その反応」
心の声と普通の声が同時に出た瞬間である。
「お前、どんくらいの期間で稼いできた?」
「2時間」
「2時間で百万稼げるダンジョンなんてあそこしかないよな?」
「おん、深淵ダンジョン」
説明しよう!深淵ダンジョンとは日本に7つしかないSSクラス以上のダンジョンである。
七つの大罪に沿っているようで憤怒だと中が火山のように熱く、嫉妬だとチームの人数が増えるとデバフがかかるなど色んな能力があるようだ。
「おま、お前そんな強いの?」
「いや知らんけど」
「ちなみに人数は?」
「ソロだけど」
「それ本当なら俺お前のデコピンで死ぬくね?」
多分熟れたトマトを潰したようにグチャグチャになるとは言わないでおいてやろう。
「まぁそれは置いといて、それで?配信できそう?」
「ここまで性能高いと配信に持って来いだろうな」
「編集とか全部任していい?」
「収益は?」
「7∶3でどうよ。お前7」
「………いいだろう!その話仕方ないけど乗ってやる!」
絶対その間は金を考えたろ?まぁ良いんだけどな、こういうところも含めて親友なんだ。
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