第40話 謎呼び出し

「優さ~、そうならそうと早く言ってほしかったよ」


学校に行くといつも俺が1番早いはずなのに、竜馬が俺の席の目の前に立っていた。


そして旅行の件を問いただされた結果今に至る。


「いや、信用はしてたけどだからって言うのもあれかなーって思って言ってなかった」


竜馬は口は固いし大丈夫だろう。


「ゆーくん~」


時間をずらして登校してきた志歩も来たようだ。


「何話してたの?」


「旅行の事」


「あーあれか~」


志歩も竜馬に隠すのはやめたようだった。


「高尾くん、私のゆーくんに手出さないでね!」


「俺はいつから水城さんに同性愛者だと思われてたの?」


俺も竜馬を恋愛対象は女性だ。


竜馬は少し2次元オタクの毛があるから、恋愛対象2次元かもしれないけど。


「旅行楽しかったよね〜、特にお風呂」


志歩がニマニマしながらそう言ってきた。


色々想像しそうになったがここが学校だということを思い出し耐えた。


「あ、ああそうだな」


冷静を装ってそう答えた。


「ゆーくんが動揺しない!?」


「そうか…!俺はヒロインと親友の恋愛を時々助ける脇役か……!!」


「もう恋愛じゃないんよ。その1個上行っちゃてるんよ」


俺ら以外だれも居ないのをいい事に志歩と龍馬が好き勝手やっている。


程なくしてクラスメートが教室に入ってきた。


今日は朝から言語文化、現代国語とかいう最悪な日程だった。


昨日は志歩に合わせて寝てしまったので脅威の12時間睡眠だ!


眠くなるはずがない!


と意気込んで数分後、俺はうとうとし始めていた。


国語の魔力は怖い。


前日どれだけ寝ても眠くなるのだ。


そして最悪なタイミングで音読の時間が設けられた。


俺はそのまま睡魔に身を委ねてしまった。


脇腹をつつかれるような感覚で俺は目を覚ました。


「ツンツン、ゆーくーん」


まだ音読の時間は終わってない。


俺が寝て、速攻で志歩が起こしてくれたようだ。


「悪い、助かった」


ニコッ という音が聞こえそうなほど志歩が笑った。


可愛すぎて目が覚めた。


「おいおい、あいつ授業中にもいちゃついてるぞ」


「イイナ、イイナ」


「呪い殺すか?」


「今夜丑三つ時に藁人形持って神社集合」


教室では男子の間で俺を呪殺する計画が練られていた。


「ゆーくんと離れたくないよーーー!」


家に帰ると志歩がそう喚いていた。


「頑張って、応援してるから」


「ゆーくんも一緒に来てよーー」


俺の腕を掴んで駄々をこね始めた。


すると俺のスマホに藍沢社長から電話がかかって来た。


「柳君、志歩の様子はどうだ?」


「なんか駄々こねてます」


「やっぱりか……もう柳君も一緒に来てくれ。今度する話を今日してしまいたい」


「分かりました」


電話を切ってもまだ志歩は俺の腕を掴んでついて来てアピールをしていた、


「志歩、俺も藍沢社長に呼ばれたから今日は一緒に行くよ」


「ナイス!藍沢社長!」


ナイス!って、友達かよ。


「じゃあ外で車待ってるから乗ろー」


「え、車来てるの?」


カーテンを開けるとリムジンが1台停まっていた。


少し身なりを整えてエントランスへと降りるとやっぱりリムジンが待っていた。


「乗ろ」


「これなの!?」


まさかお迎えにリムジンで来るとは思ってもいなかった。


流石大手アイドル事務所。


なんとも落ち着かない時間を過ごし事務所へと着いた。


「柳様はこちらへ」


「じゃあ、志歩。レッスン頑張って」


「うんっ!!」


そしてまた社長室へと連れて行かれた。


「久しぶりだね、柳君」


「お久しぶりです、藍沢社長」


「あの……唐突で悪いのだが、旅行先で志歩とシたか?」


なんでみんな聞くんだろうか。


「してません」


「なら良かったよ。アイドルが妊娠とか笑えないからね。じゃあ今日のところはこれで」


「え!?終わり!?」


来て数分で話し終わった。


「車で家まで送るよ」


そうして流されるままにリムジンへと押し込まれ家に帰って来てしまった。


「……いや、ほんとになんで??」


俺は家の前で1人、そう呟くのであった。

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