第25話 ホラー映画のやつじゃん

なんかあのおじさんめっちゃ挙動不審だな。


次の日、あのカフェに向かっている時に思った。


中年太りしている50歳ほどの男の人がカフェの周りでキョロキョロしながら歩いている。


志歩も「なんかあの人変だね」と言ってきて2人でその男の人をじっと見てしまった。


すると男の人と俺たち2人と目があった。


どっちかと言えば志歩の方を見てた気がするが。


俺たちと目が合うと、その男の人は目を逸らして小走りでどこかへ行ってしまった。


「「変なの……」」


その後、普通に勉強して帰ろうとしたらまたあの時の男の人と出会った。


「またあの人いるね」


「ほんとだ」


その時は偶然かな?で済ませていたが、毎日カフェに行こうとするとその人と会うのだ。


それでも俺たちは散歩か何かをしてるのかな?と思って特に気にしていなかったが、問題が起こったのは次の週末からだ。


「まーたあの人いるよ」


「テスト勉強始めてからずっと会うよね」


その日は手を繋いで歩いていた。


変装をしてなければ1発アウトな案件だが、志歩は完璧な変装をしていたので手を離すことはしなかった。


するとあの男の人の様子が少し変化した。


なんか俺たちが手を繋いでる部分を凝視していた。


申し訳ないがここまで凝視されると気持ちが悪い。


「なんか気持ち悪いから早く行こ」


「ああ、そうしよう」


その日は少し小走りでカフェへと向かった。


帰り道またあの男の人と会った。


会ったというより出待ちされていたというのが正しい。


木の影からぬっと姿を現した。


これには俺も志歩もビビッた。


そのあとは結構な速さで走って家に帰った。


家に着いて


「あの男の人本当になんなの?最近よく会うし、散歩か何かと思ってたけどあの出待ちは流石におかしい。ストーカー?」


「ストーカーの可能性も全然ある。志歩は可愛いからな。だから絶対に1人にならないようにしような?」


「……うん」


少し照れている気がするのは気のせいか?


それは置いといて眠さが極限状態だ。


走ってきたから尚更疲れてて眠い。


「ゆーくんの無自覚女たらし」


そんな状態なので志歩が小声でボソっと言ったのは聞こえるよしもなかった。


走って帰った後から、あの男の人は居なくなった。


ホラー映画のようである。


ほら、よくいるでしょ?謎の行動をして消えていく人物。


あれみたいだ。


その後、テスト勉強は順調に進みテスト当日を迎えた。


テストは1日2教科で3日間ある。


テスト期間は午前で下校なので帰ってすぐカフェに行って勉強していた。


その時もあの男の人は居なかった。


「あの人居なくなったね」


「少し安心したよ」



テスト最終日ーーー


「これにて試験は終了!帰宅していいぞ!」


「やったーーーー!解放だーーーー!」


クラス男子全員が叫んでいた。


もちろん俺も叫んでいた。


女子は少しキャッキャしていたくらいだが男子の盛り上がりっぷりが半端じゃない。


「テスト終わったことだしみんなで遊びに行かね〜?」


男子の誰かがそう言い放った。


「いいんじゃない?私たちも行こうかな」


女子も割と乗り気だったのでクラス全員で遊ぶことになった。


これにより男子たちの盛り上がりっぷりがさらに上がった。


「これを機にあかりちゃんと仲良くなってやる」


別な方向で燃えてるやつも何人かいたが、俺たちは初めて学生同士として遊びにいくことになった。

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