第3話 良いお知らせの内容 その2
「え、めっちゃ広くね?」
「そうでしょ。今日からここに暮らしてもらうけど大丈夫そう?」
「まぁ大丈夫だと思う」
「じゃあ、水道とかその他諸々の事教えるから着いてきて」
「は~い」
俺は2DKがどれくらい広いのか分かっていなかったがいざ行ってみたら余裕で2人くらい住めるくらいの広さだった。
このアパートは5階建で俺が住むのは3階だから眺めもいい。
控えめに言って最高だ。
一通り教えてもらって、家具を運び終えたころにはもう日が暮れそうだった。
「じゃあ、また明日ね」
「待って、1つ言わなきゃならないことがあるの」
「あぁ、良いお知らせの事?」
「そうよ、明日から優には許嫁とここで一緒に住んでもらいます。じゃあね~」
「分かった〜じゃあね~」
「………は!?」
今、聞き捨てならない事を言われた。
許嫁って何!?いつから俺に許嫁が出来てたんだよ!?
別に好きな人がいるわけじゃないから良いけどさ!
現代で許嫁とかおかしいだろ!?
もしかして何か言われること分かってたから、あんな直ぐに帰っていったのか!
「電話かけてやる!」
「プルルルルルルルル」
「なぁに?どうしたの?」
「どうしたもこうしたもあるか!許嫁と一緒に住むってどういうことだよ!」
「誰がただで住ませると言ったのかしら?」
「ここの家賃あんま高くないから私たちが払うって言ってたじゃん!」
「誰も対価が必要ないなんて一言も言ってないよ?」
「…………」
確かに対価がないとは誰も言ってない。
「同棲楽しんで〜。時々私たちにも顔見せてよ」
「………」
「あ、明日許嫁の子の両親が来るから少しは出迎える準備しておくのよ。またね〜」
「プッッ」
「………嵌められたぁぁぁあ!」
完全にしてやられた。
(取り敢えず頭を冷やそう)
そう思い冷蔵庫からジュースを取り出そうとすると、冷蔵庫の内側にとんでもなく可愛い女の子がピースをしている写真が張られていた。
綺麗な金髪でカラコンを入れたかのような赤い目をしている。
少し垂れ目になっているが可愛い系というより綺麗寄りの人だ。
しかも、出るところは出ていて引っ込むところは引っ込んでいる。
俺の脳みその知人ノートには存在しない人物だった。
「誰だこれ?まさかこの子と…?」
写真をとってみると裏側に
(明日から暮らす許嫁はこの子だよ♡頑張ってね)
と書かれていた。
「.........」
いや、♡じゃねえんだよ。
どう考えても釣り合ってないじゃん!!
しかも俺、あまり女子に耐性がない。
初日は地獄のような空気になる気がする。
「情報量が多すぎる...」
一人暮らしの部屋が馬鹿広いと思ったら超絶美少女と同棲させられると…
とんでもないな。
「この子が許嫁ねぇ…」
そこで思った。
まずこの子は俺の許嫁になることを許可したのだろうか?
俺と同じで強制的に許嫁にさせられて同棲させられるのだとしたら、この子との許嫁関係を解消できるかもしれない!
この子だって俺みたいなモブと同棲なんてしたくないだろう!
それに俺が許嫁関係をここまで嫌がるのには理由がある。
自分の時間を減らしたくない、それが理由だ。
春風みたいに一緒にいて落ち着く相手なら良いんだ。
俺は他人が自分の空間に踏み込んでくるのがどうしても苦手なんだ。
(お願いだ…せめて物静かな子であってくれ…)
そしてその願いは、後日見事に裏切られるのであった。
後書き
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