第68話 生協

大好きとは言えない姉だが、「姉の判断は正しい」

と思う事が良くある。

今回なんでそう思ったかと言うと

引っ越しに伴って母が生協を止めたからだ。

早目の引っ越しを決めたのは姉だった。


母は生協で、色々買い過ぎていた。

冷凍庫はいつもパンパンだった。

溢れると、冷凍の物をもう一つの冷蔵庫に入れていた。冷蔵なので、解凍されてしまう。

すぐ食べなければいけないのに、すぐには食べ切れない。そのうちに、直冷式冷凍の霜取りに疲れたのか

冷蔵庫を冷すのを止めてしまった。

冷さない冷蔵庫はもはや棚でしかない。

そこに食品を入れる。本来冷凍が必要な食品を。

「それではダメだよ」と話しても 母は「大丈夫よ」と言って取り合わなかった。


母には食べ物の管理が出来なくなっていた。

悪くなりかけた物も平気で食べてしまう。

元々かなりアバウトな性格だ。

鍋を良く焦がす様になり、多分自分でも心配になり

レトルトカレーを大量に買い込み、カレーばかり食べる様になっていた。母の栄養状態が心配で

行くと肉団子入りの野菜スープを作っていた。

姉も手作りの惣菜を差し入れしていた。

そんな状態だったから、夕飯付きのシニアマンションに引っ越したのは、やはり正解だった。

外食を「贅沢」と考える母に外食は無理だし

宅配弁当は2ヶ所試してみたが、美味しくなくて続かなかった。


施設のご飯には小鉢がいくつかと、簡単なデザートが付く。質素で野菜は少ないが、それでも毎日レトルトカレーに比べたらずっと良い。

姉の頑張りのおかげで、多分 母の生活の質は格段に上がった。姉にありがとうが言いたい。

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