第17話

「兵士、ごめん……俺、ちょっと家に戻らないと……」


 階段を駆け降りて、キッチンに行くと、兵士が床に座り込んでいた。


 「おい、どうした?」

 

 兵士はうずくまって、震えていた。


 「……ばあちゃんが……、死にそうだって……今、病院から……」

 「何!? こんなときに……」


 どうしよう。俺は、一体どうすればいい。


 「……裕介、どうかしたの?」

 「……いや、俺のことは気にしなくていい。

今すぐ一緒に、病院へ行こう」

 「うん……」

 「立てるか?」


 俺は裕介の腕を掴んで立たせて、強く抱きしめた。


 「大丈夫だよ。俺がついてる。ずっと一緒にいるから」

 「うん……」


 俺はスマホの電源を切り、ポケットにしまった。


 「早く行こう。お祖母さんが待ってる」


 

 

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