第15話

「おい……」

「何?」

「これ、いつまで続けるんだ?」

「ん〜……オレが満足するまで!」


 お祖母さんが倒れてから、土日はほぼ兵士と一緒にいる。

 そして、一緒にいる時は毎回、兵士の店に泊まっている。


 「ハグしてないと眠れないとか、子供か!」

 「まだ10代だし〜〜」

 

 兵士はいつも、俺を後ろからハグしないと寝ない。おかげで最近、月曜日は毎週背中がバキバキだ。


 「こうしてると安心するんだよな〜〜」

 「……早く寝ろよ」


 体が痛くなるからもういい加減にして欲しかったが、お祖母さんからの手紙のこともあって、邪険にできないし、したくなかった。


 「あのさ……またキスしてもいい?」

 「はあっ!?……勝手にしろ」


 俺はしぶしぶ目を閉じた。

 その瞬間、兵士は俺の首筋にキスをしてきた。


「……っ! おい!何してんだ!」

「今、キスしていいって……」

「していいのは、そこじゃない!」

「どこならOK?」

「……く、唇とか……」

「じゃ、遠慮なく」

「……」


 俺は兵士の方に向き直り、また目を閉じた。

 軽く啄むようなキスから、少しずつ深くなっていく。


「んっ……っ、ちょっ、おい!!」

「どしたの?」

「これ以上は……」

「イヤ?……俺のこと嫌い?」

「……嫌いじゃ無い、けど。恋人でもないのに、ダメだろ……そんなことしたら」

「オレは、もう、恋人のつもりだったんだけどな……」

「何っ!?」

「じゃあ、今から恋人になろ?」

「え……」

「ダメ……?」

「……わかった」


 つい、頷いてしまった。

 俺はいつのまにか、兵士の明るさや優しさに惹かれていた。

 社会的立場も、性格も、何もかもが違う。

 同じなのは顔だけなのに、弟みたいに放っておけない。


 「じゃあ、今日から俺は、兵士の彼氏、だな」

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