第14話 人称における長所短所を箇条書きにしてみました
『地の文の「私」が事後に語っているパターン』(一人称・過去形)
◇三人称とほぼ変わらず書けるし、地の文の「人格」の違和感を消せる
◇時制を気にせずどこにでも好きに情報を挟める
◇心理状態を分析するようなことも書ける
◇未来の匂わせ表現が出来る
◆地の文「私」は結末を知る未来の私であり、≠主人公になる
◆心理状態の描写では過去語りの形態を取らねばならない
『地の文の「私」がほぼリアルタイムに語るパターン』(一人称・現在形)
◇地の文「私」は主人公の心情吐露であると納得されやすく、=主人公になる
◇非常に深い部分の心理状態にまで踏み込め、感情発露の瞬間を描ける
◆未来を匂わせる表現は出来ない
◆時制が厳しく、風景や説明など書ける事柄に制限が大きく掛かる
『地の文に「私」が存在せず事後に語っているパターン』(三人称・通常)
◇一人称よりも細かく各種情報を好きに書き込める
◇主人公不在の場所の状況も書ける
◇心理状態を分析するようなことも書ける
◇未来の匂わせ表現が出来る
◆地の文の「人格」で違和感を抱かせる危険がある
◆心情の吐露が出来ない
◆臨場感や緊迫感を演出しにくい
◆何でも書けるので、逆に読者を情報氾濫に陥らせやすい
『地の文に「私」が存在せずリアルタイムに語るパターン』(三人称・実況)
◇一人称よりも細かく各種情報を好きに書き込める
◇主人公不在の場所の状況も書ける
◇臨場感や緊迫感を、非常に細かい描写と共に書き込める
◆地の文の「人格」が如実に出やすく、違和感が危険レベル
◆心理分析のような事後の行動は書けない
◆心情の吐露が出来ない
◆時制が厳しく、膨大な情報を整理して書く必要性が生じる
『地の文に「私」が存在せず人格も消失した体で語るパターン』(完全客観視)
◇一人称よりも細かく各種情報を好きに書き込める
◇主人公不在の場所の状況も書ける
◇時制による表現の制約をほぼ受けず、説明も情景描写も自在
◇客観描写に徹するので実況なのか過去語りなのかを気にしなくていい
◆登場人物の内面に踏み込めない
◆客観的事実のみを書くため、比喩など文章技巧に大きな制約がかかる
いちおう、こんな感じかなと思います。
実際はどのタイプもカッチリ型に嵌まったものではなく、グラデーションで近似値に近いという状況になっているとは思いますが。
追加記述。
今って、一人称小説が流行りだと言いますが、条件で言えば読者はさほど厳密なところを求めず気にもしないようになったらしいので、これは逆に三人称で書いた方がさらに自在に書けてオトクな時代になっている、とも言えてしまうと思います。
まさしく「私」を「彼女」に書き換えても通用する時代、ということでしょう。
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