145話、応援


ゴールドが騎士たちに檄を飛ばしている。ちゃんと領主らしいことしてるね。

騎士達は二百人程度だが、ほぼ全員が魔剣を持っている。ゴールドと他数人の偉そうな騎士にいたっては聖剣を持っている。改めて考えるとすごい戦力だな。うちほどではないけど。

ゴールドの後ろには、ハヤトとドーグが控えている。重鎮みたいに居座ってるね。


さて、私はどうしよう。手伝ってもいいけど、邪魔になるのは良くないし。手柄を奪うのもちょっとな。

うーん、とりあえずゴールドに合流するか。




てことで、魔物の群れをくぐり抜けてゴールドの元へ。どうやったかって? 馬ちゃんの跳躍だよ。めちゃくちゃ跳んだ。ちょっと焦った、


「久しぶり、ゴールドさん」


「……びっくりしましたよ、タキナさん。こんなところまでどうしたのですか?」


「ちょっと新しい能力を試してたらね。……手伝おうか?」


「いえ、これくらいなら我が騎士たちのみで十分です。しかしせっかく来ていただいたのなら、騎士たちに紹介してもよろしいですかな?」


紹介か。どんな説明されるかによるが、いいか。


「ゴールドさんに任せるよ」


「ありがとうございます。では…… 騎士たちよ! ここに御座すは、我が領の良き隣人、アグニ王国の王、タキナ殿である! 突発ではあるが、今日の戦闘はタキナ殿がご観覧なされる! 知っての通り、皆のもつその武器は、アグニ王国が生産している品だ! その武器に恥じない働きを見せろ!」


『応!!』


おお、音圧がすごい。統率のとれた、鍛え抜かれた軍隊だ。


「では、タキナ殿より、お言葉を頂戴する! 総員、傾聴!」


え! それはきいてない。どうしよ、何言おう。

みんな微動だにせず待ってる。……よし。


「紹介にあずかった、アグニ・タキナです。今日は私の気まぐれに付き合わせてしまうことになります。お詫びとしてはなんですが、今回の大掃除でゴールドさんに大きな働きを認められた方数名には、心ばかりのプレゼントを贈呈しようと思っています」


おおー、と声があがる。ノリがいいのは大好き。


「えー、上から五番目までの活躍者には、スキルオーブをひとつ。一番頑張った人には、更にもうひとつのスキルオーブをあげちゃいましょう。私が持ってるものしかあげられないから、希望のものがなかったらごめんなさいね」


うおおー! と、大歓声が鳴り響く。ゴールドも驚いている。ちょっと大盤振る舞いすぎたか? まあいいでしょ、こんな機会はほとんど無いし。スキルオーブ、めちゃくちゃ持ってるし。


「じゃ、無理せず怪我せず、頑張ってくださいねー」


『応ッッ!!』


うんうん、気合十分。敵は多いが雑魚ばっかりだし、死人はでないでしょ。軍隊ってどんなものなのか、ちゃんと観察しておこう。

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