133話、二十層クリア?
「あなたの言うことが本当なのなら、私はあなたを倒して、取り込んで、神にでもなんでもなる。それで私の国が守られるなら。その先の事は……まあ、期待はしないでちょうだい。ちょっと話が大きすぎてよくわかんないから」
「ふふ、今はそれでいいわよ。……じゃ、お近付きの証に、私からプレゼントを渡しておくわね。……まずはこれ、スキルオーブ。ステータス貸与ってスキルで、自分のステータスを他の人に貸せるようになる。あなたが使わなくてもいいけど、あなたが使うのが一番いいでしょうね」
おお、これは……私は体力と防御力がとんでもないから、それを仲間に貸せるとなると、仲間の安全度がものすごく上がるだろう。助かる。
「それと……これ。地獄迷宮、二十層の隠し扉の鍵。私の本体のところへ向かうためのキーアイテムがある場所に入れるようになるわ。当然、門番としてとてつもなく強い魔物が置かれているけど……あなたには魔物の強さなんて関係ないわね」
そうだね、私にはテイムがあるからね。
ていうか、隠し扉か。知らずに行ってもなにも見つけられなかったかもしれないな。助かる。助かってばっかりだな。
地獄迷宮も二十層まであるのか。サクサクッと攻略しないとな。
「さて、とりあえず、話は終わりよ。ふう……あ、そうだ。私の本体を取り込んだら、分体の私も消えるけど、レリアの肉体も魂も無事にあなたのところに送るから。じゃ、あとはよろしくね? 勇者サマ」
そう言ってすぐ、エリスは霧になって失せた。レリアの能力だろう。吸血鬼、やっぱり強いな。
「マリア、無事? 怪我はない?」
「なにもないのです! お母様、やっぱりまだまだ追いつけないほど強いのです……新しい目標なのです!」
どうやらマリアは奮起したようだ。可愛い。マリアのお母様も無事なようだし、ひとまずは心配いらないか。
にしても、仮にも神の気に当てられたのに、正気を失うこともなかったな。マリアもやっぱり特別な子なのだろうか。
「さて……うーん、二十層で終わりなのかな? 階段とかないよね?」
どうやらアビスの迷宮は二十層で終わりのようだ。すこし拍子抜けというか、気合い入れて来たのに残念というか。まあ、起こった事は大きな事なんだろうけど。
と思っていたら、空間の中央に、扉が現れた。
見慣れたような、いつもの扉。
「はいるのです?」
「うーん、怖い。……入るだけはいるか」
意を決して、扉をあける。
扉の向こうは……小さな、畳敷きの和室だった。
「やあ、こんにちは」
……そこには、日本人が一人、座布団に座っていた。
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