128話、ブラッディ
「見ちゃいけないものを見た気がするっす」
「まぁ、その。私もよ」
私と殆ど変わらない胸部装甲をみて、少し安心したのは黙っておくが。改めて、ヒナは私の心友だな、と思った。
正気を取り戻したヒナが服を着直すのを横目に、さっきまでの事を思い出す。
「敵じゃないだけ、良かったか……」
主神と邪神、両方を相手にするのは、さすがに不可能だ。
少なくとも、どちらかの助けを得るか、もしくはどちらかの助けになるかでないと、どちらも倒せはしないだろう。
さっきまでいた、空っぽの大天使を依代にした神の一部でさえ、ヒナがその気に当てられただけで発狂する程度の力があったのだ。
幸い、ユリスはエリスを討伐もしくは封印したがっている。
関わらないとは言ったが、その部分でだけは協力しあえる事があればいずれ協力しよう。
さて、いろいろあったが、とりあえずこの迷宮の事はわかった。
多分、ボスなんかもいないんだろう。リポップはする、はず。
つまり、ここは強いドラゴンをテイムし放題。……いいのか、ユリス。
というわけで、テイム。
めちゃくちゃカッコイイドラゴン。ほんとにめちゃくちゃカッコイイ。
魔物情報を見よう。
ブラッディドラゴン。
血のように赤黒い鱗をもつドラゴン。
血を操る、血魔法を使う。体内に血液タンクとしての大きな袋を持っている。
鱗や爪の隙間から血を滲ませ、それを操り攻撃する。
たとえ大ダメージを与えられたとしても、血さえ通っていれば体内の血液を操作して無理にでも体を動かす事ができるため、生存能力も高い。
生き血が好物。
かっこいいし強いし、最強じゃん!
みためはトゲトゲしくて、赤黒くて、スタイリッシュ。サイズはフロストドラゴンより一回り大きいくらいかな。
「はぁ……かっこいい」
「私知ってるっす。タキナみたいな子のこと、厨二病って言うんすよね。イサムが言ってたっす」
「アイツの方が厨二病じゃない!?」
「五十歩百歩っすよ。このことわざは、マナに教えてもらったんすよ。あの子、頭いいし優しいから好きっす」
まあ、わかる。大人の余裕というか。
いや、私の方が歳上だけどな!?
そして多分、マナもちょっと厨二病入ってるよ。だって魔法使う時の指の使い方が。
ブラッディドラゴンに乗り、霊峰を下り、魔の森を抜け、街に帰る。
馬ちゃんよりはめちゃくちゃ遅いけど、空の旅もたまには良いなと思った。
カイちゃんも、久しぶりに乗ってあげようかな。あの子、背中がふわふわなんだよ。心地好い。
ブラッディドラゴンに対して、マリアがめちゃくちゃ先輩面しはじめた。
どうやら、血液操作、というのがひっかかったらしい。吸血鬼だもんな。そういえばマリアも出来るって言ってた気がする。
「あの子は私が強くするのです」
元々結構強いのに……? そういうなら、うん、任せますが……。
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