101話、デモンストレーション
王子を引き取り、エルフたちに住居へ案内させる。
それからまた商談をはじめるが、それはアリスに任せ、私は新しい住民、戦争被害者の母子の受け入れをはじめる。
まずは点呼。人数はきっちり50人。
とりあえず荷物を各住居に置かせ、全員をセチに診せ、それから銭湯にぶちこむ。みんな、ちょっと痩せてる以外は健康に問題はなかった。さすがゴールド。
ゴールドは、防衛用の兵器と武器を買い求めた。いつもより割高で買い取ってくれた。今もうそんなにヤバいってことかな。
支援と言ってはなんだが、ワインやら家具やら、あとは宝飾やらの高価なものを次回持ってきてくれと言っておいた。食料やらはもういいや、足りてるし。戦争に宝石はいらんでしょ。
さて、私は時間も空いたし、ヒナと迷宮にいくか?
と思っていると。
「王よ、緊急です」
「……まさかと思うけど」
「襲撃でございます」
……またか。しかも今か。
数は二十万。
もうすでに、黒く小さい点のように見える距離にいる。
よし、どうせなら王子様とゴールドにも、ウチの防衛力をみせつけるか。ベルゼに、彼らを防壁の上まで案内するように言う。万が一の時はベルゼがなんとか守ってくれるだろう。
「マウドラ君と、トロちゃん、ロックちゃん、フロストドラゴン、ヘッグちゃん、スラちゃん、出るよ。殲滅戦だ」
今日は巨竜で押しつぶす作戦だ。
さて、見せつけるぞ。
トロちゃんの上で、左右を見る。
片方には、マウドラ君、ロックちゃん。
もう片方には、フロストドラゴン、ヘッグちゃん、スラちゃん。
「えっと、作戦は……一気に殲滅、でいいかな?」
城壁の上に、王子とゴールド、あとはアリスとベルゼの姿が見える。
敵はもう目の前だ。横にも奥にも広く密集している。しかし、超大型の魔物は見当たらない。楽でいいや。
よし。戦闘開始だ。
まずはフロストドラゴンとヘッグちゃんが先行。
フロストドラゴン二体が、ブレスで前線を凍らせる。前回と同じだ。
ヘッグちゃんの腐食液が、何発も吐き出される。それらは敵を溶かし、そこから生み出された蛇たちがまた、まわりの魔物に襲いかかり腐らせていく。
ここまでは順調。何事もない。
おいついたスラちゃんが、巨大メタリックスライム娘となって、敵に猛威をふるう。
焼け焦げるパラライズ、上級魔法にみえるほど大きい初級の火魔法、フロストドラゴンの吐き出した氷を集め利用して、再度氷柱をばらまいたり。とにかく物量と魔力で潰していく。
そして、ロックちゃん、トロちゃん、マウドラ君が前線に到着。
まずは三体で、同時に一発、ソニックブラスト。
大気が爆発する。まず敵が爆散し、それから大爆音が響く。
三体で撃つタイミングがよかったのか、前回みたマウドラ君のソニックブラストより威力が倍ほどに見えた。マウドラ君からやや扇状に、敵の居ない空間ができた。
「三割くらいとんだ? すごいねぇ……」
そこからは、踏み潰し、蹴飛ばし、しっぽで薙ぎ払い、とにかく質量で畳み掛ける。
トロちゃんとロックちゃんだけでもものすごい殲滅力なのに、マウドラ君がいることでもっとはやく済みそうだ。
城壁の上に待機しているロミオ王子とゴールドは、口を大きくあけて呆然としている。
ふふ、いいデモンストレーションになったかね。
さてさて、あとはもう同じことの繰り返し。
やっぱり、超大型が出てこない限り、もしくは伝説級が来ない限りは無敵だな。数の暴力がほぼ効かないのは強みだ。魔物がいなくても、バリスタと大砲である程度は守れるし。
「さて、あとちょっとだよ!ガンガンやっちゃって!」
みんなを鼓舞し、ガンガン進ませる。狩り残しはなさそうだ。端から順に消していけている。
「よし、あともうちょびっとだな。マウドラ君、ブレスで最後やっちゃって!」
マウドラ君がソニックブラストを吐き出す。
爆音。そののち、相手は壊滅した。
……たった一体を除いて。
「ありゃ、あの子めちゃくちゃ耐久あるって事か……?はいテイム!」
最後の一体をテイム。
二十万の軍勢による侵攻は終わった。
やはりいつも通り、被害もなく。余裕だったな。
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