83話、ぼくのかんがえたつよいどらごん


56日目。

結局、朝から海鮮丼を食べている。

豪華山盛り海鮮丼と、潮汁。またまた贅沢だ。


「朝の海鮮丼、めちゃくちゃおいしいのです……」


「なんでこんなおいしいんだろう……毎日これがいいなぁ」


このサーモンみたいなやつが一番美味しい。どんな魚なんだろう……あとで調理班のとこ行って見てくるか。





「うあ……これ……?」


「これが、アレなんですよ」


調理班のところでイサムに案内してもらい、今朝食べたサーモンみたいな味の魚を見せてもらう。

……後悔したね。食べ物は見た目じゃない、けど、ちょっと……ね。


「いやでも美味しいし……」


「そうなんですよ、美味しいんですよね……ああ、今朝早くから漬けてるやつあるんですけど、ちょっと食べます?美味しかったらまた別の日にメインでだしますから」


というわけで試食した。美味い。ほんとに美味い。……あんな見た目なのに。

他にも、ホイル焼き、ムニエル、混ぜご飯にしても美味いという。……あんな見た目なのに!





昼前。

アビスの迷宮、七層に派遣している魔物から、緊急の救援報告が入った。

どうやら、ゲートから坑道までの道に、強力な魔物が現れ、坑道への侵入が不可能になったそうだ。

カイザートロルが一体、戦闘不能にされたという。命に別状はないが……カイザートロルでダメな魔物ってなによ?ドラゴンか?

というわけで、私の出番。

一応、メタスラちゃんをつれて、アビスの迷宮に行く事にする。





アビスの迷宮、七層。

七層へのゲートからゴーレムがでてくる坑道までの間は、丘になっており、私が来た当初は魔物もなにもいなかった。

しかしそこにはたしかに、魔物がいた。


「ドラゴンだよねぇ……」


カイザートロルでダメな魔物、やっぱりドラゴンだった。

本物かどうかはわからないが、姿はまさに、だ。

しかも、全身が金属質にみえる。

メタリックドラゴン、みたいなものか?坑道あるし。


「メタリックはもう足りてるんだよなぁ」


肩に乗るメタスラちゃんも、家にいるスラちゃんもスライム娘も、メタリックなのだ。

街を守る海鎧もそう、スケルトンたちも最近は金属の装備してるのが増えたし……あれ、今更ひとつメタリックが増えたところであんまり関係ないか。うん。


「というわけでテイム!これでこの辺は安全かな?」


もしかすると、丘の向こうとかにはほかのエリアがあるかもしれないなぁ。そのうち探索するか。


というわけで、魔物情報。



アダマンタイト・ミスリル・ドラゴン。

アダマンタイトとミスリル、そして他数種類の金属の合金で出来た鱗と爪牙を持つドラゴンモドキ。

体表の合金を流体のように自在に操ることが出来る。

防御面では魔法耐性、物理耐性を高い水準で持っており、攻撃面でもアダマンタイトのように強固な爪牙や、ミスリルを媒介とした魔法を使うため、相対した時の対処が難しい。

ドラゴンではないが、状況によってはドラゴンよりも厄介かもしれない。

岩や鉱石を食べる。



うわ、名前が安直なのに普通に強そうなんだけど。

アダマンタイトとミスリル、合わせたら最強じゃね?みたいなガキの最強論を感じる。しかもそれをゴーレムじゃなくてドラゴンにしちゃうし魔法も使えるようにしちゃった。盛りすぎ盛りすぎ。

これ本物のドラゴンだったらシャレにならんのだろうなぁ。いや、カイザートロルで勝てないならこれでもシャレになってないんだけど。

まあでも、かっこいいんだよな。黒と白が交互に流れる感じというか、流体が混ざり合わず流れ続けてる感じの色味がかっこいい。厨二心がくすぐられる。

……今日の魔物生成で増やすか。かっこいいわ。





帰宅。

アダマンタイト・ミスリル・ドラゴン……アミド君は二体に増やされ、空の偵察部隊に配属。

見た目がめちゃくちゃかっこいいので、子供たちにもウケがよかった。


「見た目めちゃくちゃかっこいいのに、名前が……いや、わかりやすいですけど」


勇者イサムも普通の感覚をお持ちのようだ。

そうだよね、アダマンタイト・ミスリル・ドラゴンてちょっとね。


「アミド君てなんだよ」


私も考えてつけてるんだよ!わかりやすく!

ゼストには名付けの大変さがわからんでしょうね!


「アミド二号は無いのです」


……なんなのみんな!今日は当たりがキツイな!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る