82話、神話生物


それからしばらく進み、何度か交戦を繰り返した。

大抵はレオとヒナさんがボコボコにしてくれている。私はついていくだけ。

まあ、ヒナさんもレオも戦うのが好きだからな。適材適所だ。


「もうすぐボスエリアっすかね。テイムするんすか?」


「どうしようかなぁ」


うん、まあ、ボスだもんな。珍しそうだし、テイムはしたい。

とはいえ、でかい。でかいし、地上で大丈夫なのかな……そこんところはテイムしてから考えるか?


「テイム、するかぁ。いやしかしデカイなぁ」


「でかいすねぇ。普通に戦ったら勝てそうにないっすよ」


普通に戦わなければ勝てるのか?って話だけども。どうなんだろうね。


というわけで、ボスエリアに到達。

敵対される前に、テイム。


「はいテイム!うーん、でかい。ドラゴン系かな?」


魔物情報をみる。



レヴィアタン。

神話級の海竜。水を生み、水を操る。

水の中を泳ぐことができるのだが、空気中にも水分が含まれているため、実質的には空も飛べる。

魔法や呪いが効かない。レヴィアタンが水を操るのは、魔法ではなくスキルによるもの。

魔王ポセイドンとの争いに敗れ、崩壊しかけていたのをアビスによって保護され、アビスの迷宮にて住処を与えられた。



うーん、また神話的なアレだ。

いろんな神話系のがでてくるけど、そういう宗教がこの世界にあるわけでもなさそうなんだよな。ただ本当に魔物の名前なんだよ、レヴィアタンもニーズヘッグも。

もしかすると、魔物の名前をつけたのが、前世からの転生者、だったりするのかな。あからさまに色々混ざってるもんね。


「空も飛べるらしいよ」


「すげぇっすね、これまたヘッグちゃんくらいデカいのに……能力も怖いっすねほんと。魔法効かないってどうやって戦うんすかコレ」


ゼストなら瞬殺出来るだろうけど、それ以外なら厳しいかもなぁ。ヘッグちゃんで対等くらい?

戦わせるわけじゃないけど、強さランキングみたいなのほしくなってくるな。


「じゃ、十五層は明日にして、帰りましょうか。晩御飯はなにかなぁ」


「肉がいいっすけど、最近は魚も好きになってきたんすよね。国ではあんまり食える機会なかったっすから」


というわけで、帰宅しよう。





レヴィアタンを連れて帰った。

ドラゴンたちは新しい仲間を歓迎し、飛び回っていた。これはウチでしか見られないんだろうな。


家の裏手に、レヴィアタンとスラちゃんが協力して大きな溜池をつくった。魔物たちの水浴び用だそうだ。

ついでに街の用水のためにも溜池をつくってもらった。いままでは黒龍の降らす雨を容器で溜めていたので、ちょっと不便さはあったんだが。これからはもうすこし便利になりそうだな。


「またヤベェやつを連れてきたんだな」


ゼストがレヴィアタンを見ながらぼやく。

そこに居たんだから仕方ないじゃんね。居なきゃテイムしないさ。


「水の問題が起こりそうだったのでちょうどよかったですわ。お手柄ですわね。……いや、タキナ様のやる事にお手柄以外ないのですけれども」


アリスも嬉しそうだ。しかし問題はやはり起こりそうだったんだな。魔物も増えたし、人も増えたからなぁ。





晩御飯は、トンカツとキャベツ、白米、豚汁だ。

豚系の魔物がよくとれた日のようだ。

トンカツとトンテキはセレクトだった。私はトンカツの方が好き。


「マリアもトンカツ派?」


「トンカツ派なのです。味噌ダレが美味しいのです」


「あ、私はソース派だなぁ。味噌も美味しいけど……今日は味噌ダレにしよ」


「おそろいなのです!」


トンカツに味噌ダレ、キャベツにゴマドレ、白米はそのままに、豚汁に少し一味を。

うん、贅沢だ。ほんとに贅沢。トンカツを好きな時に食える生活ってほんとに幸せだな。


「明日は魚がいいな」


「煮付けがいいのです」


「私は生がいいなぁ。海鮮丼しようかな」


「……海鮮丼食べたくなったのです!」


明日の昼はソレにしよう。朝のうちに調理班にリクエストしなきゃな。

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