56話、カニ食べ放題


43日目。

朝ごはんは、天ぷら風に揚げた鶏肉と野菜各種に特性ピリ辛ソースをかけてトルティーヤ風生地にのせて巻いたやつと、キャベツと人参とコーンを刻んでマヨネーズと酢、塩、砂糖と混ぜたやつを食べた。


「ツイスターとコールスロー、美味しいな。調理班いい仕事するなぁほんとに」


調理班は悔しそうにしていたが、まだ納得がいってないのだろうか。十分美味いのに。ストイックだなぁ。


最近はゼストの為に、マリアと一緒に城でごはんを食べている。今朝からはアリスも一緒なので、美少女が三人並んでるのを眺めながらの食事だ。三人とも上品に食べるし、絵画師でも雇ってコレ描かせたい。私の家に飾ろうコレ。


「タキナ、変なこと考えてないか?」


「ああいえ、みんなで食べると美味しいなって」


「……まぁいい」


つぎゴールドが来たら、絵描きも寄越させるか。





さて、今日はなにをしよう。

迷宮はふたつともクリアしたいんだけど、アビスの迷宮のほうが優先したい気がするんだよな。なーんかはやくクリアしなきゃいけない気持ちがある。導かれているような?

でも地獄迷宮の五層も気になるし、山頂も行きたいし。うーん。


「マリア、どこいきたい?」


「馬ちゃん乗りたいのです!」


じゃ、地獄迷宮いこうかな。





地獄迷宮、四層。砂浜にて。

海の中はやはりわからないが、砂浜には前回同様カニが歩いている。


「アレ食べれるやつかな?」


「カニさん美味しいのです?」


マリアは食べたことないのか。……一回食べてみるか。


「トロル君、形残して倒してくれる?」


ちょっと困った顔をしたが、トロル君がやってくれた。

トロル君の手刀で、カニが正面から半分に切られた。そんなことできんの?


「カニ味噌は怖いからいいや……さて、身はどうかなっと」


カニの足を聖剣で切ってみる。プリプリで美味しそうにみえるが。

おおきな身を切り出し、そのまま食べてみる。


「……ああ、甘い。これは美味しいな」


「私も食べたいのです!」


マリアにも食べさせる。毒はないようなので大丈夫。マリアも気に入ってくれたようだ。

地獄迷宮までは徒歩だと数時間かかるから、取りに来るのはちょっと難しいけど……カイザートロルとオールゴーレムを派遣して、一日一杯運んでもらうか。そのうちね。


「この迷宮までの道もほしいなぁ」


道があれば時短にもなるだろうし。


さて、あらためて四層探索。

ずっと砂浜と海が続き、カニとヤドカリ、変な気持ち悪い虫みたいなものなどが現れる。

この蟹の殻ももしかすると防具とかに使えるのかなぁ。変な虫はちょっと気持ち悪いのでトロル君に適切に倒してもらった。海にポイしてください。


またしばらく進むと、新しい魔物を見つけた。


「貝だ」


「貝なのです」


でっかい二枚貝だ。これも食べれるかな?

ひとまずトロル君に倒してもらおう、と思ったのだが。

トロル君がパンチ。……破損なし。硬いね。

次はちょっと本気パンチ。……また耐えた。マジ?

溜めて、音を置いていくマジ本気パンチ。……嘘でしょ。無傷。


「え、硬くない?嘘でしょ?」


「かちかちなのです。私がやるのです?」


どうやら物理は効かないと思っていいようだ。すごいな、貝。

というわけでマリアにお願いする。


「部分霧化……血液操作。やったのです」


マリアの手が霧になったと思ったら、貝が開いた。

前から思っていたが、この子強すぎない?

さて、貝の中身は……おっと。


「真珠?かな?」


「白くて綺麗なのです」


結構な大きさの真珠がはいっていた。アコヤガイだったのか?

とりあえずこれは持って帰るか。メタスラちゃんに持っていてもらう。この子の変形の技量も、めちゃくちゃ上がったんだよな。

貝の身自体も美味しそうだな。これも食べたい。バター醤油焼き……醤油、もうすぐで完成しそうって言ってたのでとても楽しみだ。

帰りにひとつだけ狩って帰ろうと思う。今日はひとまず、五層に到達するところまでは行きたいからな。

ひとまず、もう少し進もう。

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