24話、迷宮四層



ゼストが住民に加わった。

どうやらゼストの城は『デモンズキャッスル』という特殊な魔物だそうで、幻術で遠くから見えなくしていたのを解いてゼストと共に拠点まで歩いてついてきた。


「こいつはテイムしないでくれよ」


「き、気をつけます」


ドワーフたちに報告し、特に問題なく街人として受け入れられた。

私が言うのもなんだが、大魔王がきてはいそうですかって受け入れられるの凄いな。


デモンズキャッスルは私の家の横に根を下ろした。

私としても、地下に通いやすくて助かる。……地下あるのに歩いてきたんだ?中身どうなってるの?そういえば外観より中身が広い気はしたんだよね……空間魔法?


ゼストは私の魔物たちとも挨拶を交わしていった。

どうやら本当に魔物と仲良くなれる能力があるらしい。仲がいいのはいい事だ。





さて翌日、20日目だ。

思えば20日もよく生き延びられたな、と思う。

都合よく進みすぎだよなー、とは思うが、苦労はしないに越したことはない。このまま順調に都合よく生き延びたいところだ。


今日は、今度こそアビスの迷宮四層を目指す。

三層の鎧オーガもテイムしていないが、それはそのうちでいいかな。レオのほうが強いし、使い道があんまり思い浮かばない。戦争でもするなら鎧オーガは軽装で防御が高いから歩兵として使いやすいのかもしれないけど。まあ戦いは素人なのでわからない。





レオ、マリ、そしてメタスラちゃんをお供に、迷宮三層へ。

メタスラちゃんは触ってて気持ちいいのでもってきた。物理と氷が効かないような魔物が出た時でも、メタスラちゃんならいろんな魔法を使えるし、体を変形させて剣にできたりするし、臨機応変に対応しやすい。汎用性が高い代わりに単体ではたいした戦闘力ではないが。


三層下の魔物を、レオとマリが蹂躙。

降りてきたところとは正反対の所に、やはり下層への階段があった。


四層へ、降りる。





「うわ、こわいなぁ……」


四層は、墓場だった。

スケルトンが徘徊し、ゴーストが空を舞う。

遠くから呪詛が聞こえてくるし、たまに地響きもする。


「こえー……帰りたい」


ただ、まあ、怖いだけではある。今までの層より魔物の種類が多そうなので、楽しみだ。楽しみなのだ。怖いけど。


少しだけ進み、周りを見渡す。


その辺にいるスケルトンは、こちらを見ても襲っては来なかった。

そらにはハゲタカのような魔物がいる。これも、まだ襲っては来ていない。


「おお、スケルトンナイト?スケルトンドラゴン?なんか骨系が多いなあ。ゾンビもいるけど気持ち悪いな……強そうなの他にいないかな」


ひとまず近場で一番強そうなのは骨のドラゴンだろうか。

今日はひとまずあの子でいいや。


少し遠いため、歩みを進める。

スケルトンは襲ってこないが、ゾンビは襲ってくる。

レオに殴らせると大変なことになりそうなので、マリに任せる。なんだか魔法の威力と練度があがっているような気がするな?

ゾンビは弱いが、結構な数が襲ってくる。めんどくさいのでメタスラちゃんにもやらせる。ゾンビはよく燃えるなあ。


さて、骨のドラゴンの前に来た。

骨のドラゴンはこちらを見ているが、なにもしてこない。骨系は全く襲ってこないな……?


「ま、いいや。テイム!よろしくね……えっと、骨ドラ君!」



スケルトンドラゴン(炎)。

全身が骨のドラゴン。生前に使えた魔法を使える。

空は飛べないが、滑空はできる。

魔法に耐性があり、特に同属性の魔法はほぼ効かない。物理と聖属性に滅法弱い。骨なので。

火を吐くだけでなく、軽い爆発もつかえる。練度が高い。



「さて、帰…………あれ、この子って外でれる?」





四層より帰還。スケルトンドラゴンは外には出ることができた。

試して見たが、入り直すことはできなかった。中から外へは大きさの制限がないのかもしれない。


スケルトンドラゴンも食事は魔力なので、スラちゃんにお願いして魔力を与えてもらうことになった。

スラちゃん、みんなに魔力を与えている。お母さんかな?

スケルトンドラゴンは、稀に脱皮のようなものをするらしく、もうすぐその時期だそうだ。ドワーフ達がめちゃくちゃに喜んでいた。スケルトンドラゴンの骨というのはこれまたいろんなものの素材になるらしい。例えば魔道具の基盤の伝導だとか、魔法系武具のコーティングだとか。なんせ高価で汎用性が高いので市場で常に枯渇しているようだ。


夜は、いつものようにステーキパーティをして楽しんだ。

最近毎日のように住民みんなで晩御飯を食べてる気がするな。楽しい。ゼストも楽しんでるようでよかった。酒には弱いらしく、ご飯を食べた後にちょびっと飲んですぐに寝てしまった。海鎧が城に運んでくれた。


楽しくて幸せな日々がずっと続けばいいのにな、と思う。

いや、もっと賑やかにしてやるぞ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る