18話、それぞれの役割
ドーグが来た。
家を持ってきた。
「え、どういうこと?」
15日目。
今日は朝からサクッと迷宮三層に行ってアビサル・アーマーをテイムした。鎧二号君ね。
ついでに何体か始末して、剣と盾だけ数セット回収した。この剣盾ならオークも今のものより強くなるだろう。
昼からは今いる魔物たちの役割を考え直そうと思う。結構増えてきたし、出来ることを改めて見つめなおさないとね。
と、考えていたのだが。
どうやら、ドーグが帰ってきたようだ。
……30人ほどのドワーフと、家を何件か連れて。
「ようタキナ、来たぞ」
「あ、はい、どうも。これは?」
「これは『工房』たちじゃな」
どうやらこれら建造物は、家ではなく工房らしい。
聞くところによれば、新しく1から建て直すには余りにも時間がかかりすぎるので、それならと建物の基礎を切り離して無理やり運んで来たそうだ。
数日のメンテナンスを経ればすぐに使えるようになる手筈らしい。早いのはいいね。
これで、武器防具、いろいろな道具などもつくる目処がたった。我々の拠点での、主な基幹産業となるはずだ。
ところでドーグに深海鋼を見せたところ、連れてきた新しいドワーフとともに大騒ぎしていた。これは工房を使えるまでの時間が短縮されるだろうなと感じた。
サイクロプスがドワーフとともに作業をするのを眺める。
どうやら今日は木材加工ではなく、各家の位置を決めるようだ。
私にも相談がきたが、ひとまずはドワーフ側で決めていいよと言っておいた。
そのうちちゃんとした都市計画を立てたいが、そういうのにはまったく詳しくないからな……今のところドーグに任せていればいいか。
魔物が居る前提の街にしないといけない、というのも難しいところだよな。トロちゃんスラちゃんは街の中には絶対入れられんし。
さて、改めて魔物たちの役割を考えよう。
まず、トロちゃんとスラちゃんは……緊急時の防衛担当だね。なにかしらに攻められた時に活躍してもらおう。うん、ほかに使い道が思い浮かばない。ああ、あと整地とかがあれば、かな。
武装オークと鎧ちゃんと鎧二号君をメインの肉収集班にする。私が迷宮に行かない間はレオ君とマリとケンタ君も追加で、迷宮に行く時はカイちゃんもこの班。
蜘蛛ちゃんとサソリ君とリクのスケルトン数体を、二層から拠点までの肉の運搬係にしよう。
役割分担で効率化。ドワーフに言われて気付いた。
サイクロプスはドワーフに貸し出したままでいいや。なにか危険があっても、サイクロプスがいれば多少はなんとかなるだろう。
リクのスケルトンもほとんどがドワーフへの貸し出しだ。軽い力仕事などは全部スケルトンに任せられるので物凄く捗るらしい。いいね。
マジックトレントは、最近何故かめちゃくちゃ実をつけるようになった。スラちゃんがなにかしたっぽいけど。実が増える分には問題ないか。この子はじっとしていてくれたらそれでいい。
リクも、スケルトン生産が終わったら自由にしていい。最近は散歩したり、ドワーフの作業を眺めたりしている。
あとはイカちゃんだけど、イカちゃんは毎日海で魚をとってきてくれている。やはり魚は良い。
さて、今のところこんなものか。
食料調達もいまのところ問題なく、ドワーフたちの分も賄えそうなところまできている。
ドワーフたちは自分たちで自給自足を出来るようになるまでは持参した保存食で、と思っていたようだが、そうはいかない。私の村ではみんなが美味しいものを食べなければいけないのだ。これからも頑張って食を彩り豊かにしていこう。
食といえば、野菜と穀物を植え始めたそうだ。
このあたりは土に魔力が多く、農作物はどの季節でもある程度は育つはずらしい。
今はまだ小さい畑に実験的に植えられただけだが、そのうち輸出ができるくらいに大規模に整えたいな。この調子でいろんな産業を発展させていきたい。畑の管理もほとんどスケルトンで済ませられるし、ほんとにあの時リクをテイムして良かったな。ごめんね今いらねとか思って。ほんと。
さて、というわけでそれぞれに新たな役割を決めた。
明日からは、これに則って働いてもらおう。
私の最高最強の街づくりのために。
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