第8話 茂登子からの電話2

結局もとこはまた働くことにしたらしい。男に走ることも会社を作ることも やめて 堅実に自分ができそうなことを選んだ。まあ、おかしなことを考えるよりは働いてる方がずっといい。不安にかられて動いてしまうとろくなことはない。一番自分に向いた道を選んだわけだ。茂登子にはこんなことよりもっと 根源的な不安があった。素敵な旦那さんと結婚して幸せいっぱいなはずなのにこんな風に不安になる理由はそこにあったのかもしれない。喉の奥のもっと深い部分の不安が時より頭をもたげるのだろうか。

外から見ていると茂登子は全く幸せそうだった。若い素敵な旦那さまと結婚して幸せに暮らしている。もう十分に幸せなはずだっただろう。今のこの幸せがずっと いつまでも続いてくれるとそう信じていたかった。

もし父や母のように耳の聞こえない子が、生まれてきたらどうすればいいんだろう。

聞こえなくても話すことはできるんだろうか。

その場合トレーニングの仕方とかあるんだろうか。

疑問は尽きない。

夫婦2人で協力して、話し方のトレーニングをしてゆけばいいんじゃないか。他に仕方がないよ。

不安でいっぱいだった。

2人のこれからの人生に大きく関わってくることだから、旦那さんとよく話して決めていくしかないと思う。

生まれてくる子も大変だけど親も大変だよ。

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真夏の天使 瀬戸はや @hase-yasu

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