三つ子たちの奇妙な生活

櫻井桜子

第1話 三つ子×朝ごはん

私は光井みつい瞳見ひとみ、三つ子の長女。私は今、とあるものを前に壮絶に悩んでいる。そう、それは、「朝ごはんに何を買うか」。というのも、つい昨日妹達とこんな会話を繰り広げたからなのだ。


「姉ちゃん姉ちゃん、朝ごはんは何がベストだと思う?」

「…満巳みつみ?急にどうしたの…?」

 階段を降りると、いきなり満巳にそう聞かれたんです。

「お姉ちゃんっ!満巳がシリアルは絶対にないって言うんだよっ!」

「だって双未ふたみ!朝ごはんはやっぱりパンでしょ!」

「いやいや、パンは焼かなきゃいけないもん!」

「パンは焼かなくても美味しい奴いっぱいあるけど、シリアルは大体同じ味でしょーが!」

「にゃにおう満巳!お姉ちゃんは怒ったぞ!」

「双未ねえは怒っても全然怖くないもんね!」

 この会話から見ると、つまり、「朝ごはん、パンかシリアルか問題」をネタに喧嘩しているわけだね。でも、この問題にはある強大な一派が存在していることを2人は忘れている。

「双未!満巳!一旦落ち着きなさい!」

「ひゃんっ」

「姉ちゃっ」

「パンもシリアルもどっちも美味しいってことでいいでしょう。けど、敢えて言います。私はご飯が1番美味しいと思う!ご飯こそ、日本人の心が最も現れる朝ごはんなのよ!」

 一瞬の沈黙。

「いやいや、そうだとしても、ご飯は炊くのが面倒でしょっ!」

「そーだそーだ!しかもご飯は単体では食べられない!」

「大体お姉ちゃんは和食優先率が高いもん!洋食とか中華とかほぼ食べらんないじゃない!」

「でも毎日ごはん作るのは私なんだけど?」

「あ」

「う」

「私の好きなものを優先して何が悪い!!」

「………」


こうは言ったものの、和食ばっかり選ぶのは妹達にちょっと悪いと思い、シリアルを買うべきか、パンを買うべきか、今悩んでいる。お米は家に常備されてるから買わなくてもいい。

どーしよっかなーと思って何気なく視線を上げると、乳製品コーナーが目に入った。

「あ、閃いた」






次の日



「…結局、朝ごはんこれなんだね」

そう、ご飯でもパンでもシリアルでもないそれは


ヨーグルト

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