多様化の時代を俺は生きている。

凪@マイペース更新中

シーズン1

第1話 

「…あざしたー」


今日のバイトも終わり。大学行くか。だっりい。でも勉強しなかったら母さんに怒られるからな…義務じゃねえのになんで行かなくちゃいけないのかね。


菊地きくち先輩!お疲れ様です!」


こいつの名前は、田中斗真たなかとうま。俺のバイトの後輩だ。


「ああ、お疲れ。」


「先輩、今日も大学直行ですか?」


「まあな。家に帰る理由がねえし。つーか、大学から近えからここのバイト始めたし。」


「そうでしたね。確か、先輩ってここの道を真っすぐ行ったところの大学ですよね?」


「ああ。そうだが。」


「俺、そこの大学に入学したんスよ。だから、バイトとしても、大学生としても俺、後輩っす!」


なんでこんなやつが俺が入るような大学に入るんだよ。お前、頭いいじゃん。


「なんで入ってきたんだよ」


「俺、菊地先輩のこと、好きなんです!」


「…はぁ?」


なんだよそれ。告白?お前男だろ?顔も整ってるんだから、どこそこの美女とっ捕まえて遊んでろよ。


「俺じゃなくて女を探せ。」


「いや、実は俺、女にはときめかないんスよ。」


はぁ??もっと意味わかんねえよ。男は普通女にときめくだろ。

なんかこいつに関わっちゃいけねえ気がするな。


「俺実は、ゲイなんスよ。」


「…ゲイ?」


「ゲイって知ってますか?」


そのぐらい知っとるわ。男が男を好きになるあれだろ?意味わかんねえよ本当に。俺は世間一般の恋愛にしか目を向けたことがねえからな。まあ、彼女は一向にできねえけど。


「どうです?付き合ってみませんか?」


「断る。大学遅刻するからじゃあな。」


俺はさっさと着替えて大学に向かった。



***



「…はよー」


「おっす陽平ようへい。」


こいつは俺の大学の唯一の友人、川上将斗かわかみまさと

身長は185cmで、スタイルが良く、ついでに頭もいい。こんな俺が将斗の友人にはふさわしくないと思ったが、将斗は俺を歓迎してくれた。将斗にだけは、悩みも打ち明けられる。そんな将斗を、心から慕っている。友人としてな。


「お?なんか言いたげな顔してんな?よし。講義まで時間あるし、悩み聞いてやるぞ。」


「…あざす。」


俺は将斗に今朝あったことを話した。


「なるほどな。ゲイからの告白か。お前女子にはモテねえけど男子にはモテんのな。」


「笑うなモテ男。」


将斗はわりいわりいと言いながらも笑っていた。殴ってやろうかなこいつのこと。


「で?どうすんの?受け入れんの?」


「アホか?この俺だぜ?彼女作りたいわ。」


将斗は、どの俺だよ(笑)とまた笑っていた。


「でも今って、性別いっぱいあるし、多様化の時代じゃん?そういうのも視野に入れといても良いとは俺は思うけどな。あ、講義始まるわ。お前も席付けよ。」


「わかった。」



多様化ねえ…たしかに最近は、女、男、だけじゃなくて、それこそゲイやレズ、バイセクシャルとかもあるよな。総称して、LGBTQだとか言ってたかな。みんなは理解しろと押し付けてくるけど、俺は理解はしてない。おかしいだろ?普通は、男に生まれたら女を好きになり、女に生まれたら男を好きになる。これが一般的な恋愛だ。これこそ、だと思っている。


そして、今日の講義は、「多様化の時代とLGBTQについて」だった。色々考えさせられるよな。


「(多様化って言われてもよぉ…こんなん学んでなんの得があるってんだよ)」


前もよく聞いていたのが、あれが多様化なのかは知らんが、性同一性障害だっけか?心と体の性別が違う、みたいな。俺は心も体も男だ。でも、講義聞いてると、そういう人たちって大変なんだな。他人事だけど。


「これで講義は終わります。お疲れ様でした。」


今日の発見はいっぱいあったな。そうだ。ゲイだと名乗る田中に、詳しく聞いてみようかな。


「陽平。昼食いに行こうぜ。」


「ああ。」

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