第45話 影からの使者

夜が更けた静かな街並み。月光が街の角々を照らし出し、あたりは神秘的な静寂に包まれていた。リナとソウタは、それぞれの戦いの後遺症と新たな力を胸に、一息つく時間を持てた。だが、その平穏は長くは続かない。


「ソウタ、なんだか心配... ヴォルガの存在がまだ私たちを脅かしているような気がして...」リナの言葉に、ソウタは深く頷いた。


「うん、リナ。でも、僕たちは手を取り合っている。どんな敵が来ても、一緒に立ち向かっていく。」ソウタの声は固く、決意に満ちていた。


その時、遠くの空に奇怪な光が現れた。二人はその光源へ目を向けると、月明かりに照らされた空から、一人の人影がゆっくりと降り立ってくるのが見えた。


それは、セレスタ、"月夜の舞姫"であった。


月明かりの下、彼女の姿は幻想的で、幽玄な美しさを持っていた。金色に輝くロングヘアと、深く神秘的な青い目がその美しい顔を飾り、彼女の周りには煌めく月の光が舞っていた。彼女の衣装は月光に映える白と銀の素材で構成され、それがまるで月夜に溶け込むかのようだった。


彼女の目には深い闇と冷たい炎が交錯するような奇妙な光が宿っていた。セレスタは二人の前に立ち止まり、その美しい顔に微笑を浮かべながら言った。「夜空の星々が輝く間も、暗闇は常に私たちとともに。新しい時代の幕開けを告げる影が、そう遠くない未来に立ちはだかるでしょう。」


セレスタの言葉は暗示めいたものであり、その目的ははっきりとは言及されなかった。しかし、その存在から、かすかにヴォルガの気配を感じた。


「ソウタ...これは...」リナが囁いた。


ソウタはリナの手を握り、力強く言った。「リナ、彼女たちの意図はまだ分からない。でも、何があっても、僕たちはこの街を守る。そう誓ったんだ。」


セレスタは静かに笑みを浮かべながら、再び夜空へと昇っていった。月明かりが彼女の翼を照らし、彼女の姿はやがて闇夜に消えた。


ソウタとリナは手を取り合い、その決意を新たにした。彼らは知っていた。これが新たな始まりであり、ヴォルガとその部下、四天王との壮絶な戦いが幕を開ける前兆であることを。


そして、遥か遠く、ヴォルガの居城では、四天王たちが、その主の復活の時を待っていた。

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