第44話 輝煌の絆、再び

明け方、街は微かな希望の光を放っていた。ソウタとリナは心身ともに疲れきりながらも、街の人々とともに前の戦いの爪痕を癒やしていた。リナの笑顔が人々に安堵と希望をもたらし、ソウタの不屈の勇気が多くの人々の心に火をつけていた。しかし、彼らの心の奥底ではまだ危機の影がくすぶっていた。


突如としてその危機が現実となった。地が震え、空には厚く暗い雲が立ちこめた。巨大なノイズが出現し、その規模と凶暴性は前回の戦いを遥かに凌駕するものだった。巨大なノイズは街を襲い、炎を吐き、恐怖をまき散らした。


「これは…前よりも遥かに強い…」


ソウタは剣を手にとり、顔を歪めながらも決死の覚悟でその巨体に立ち向かった。しかし、その攻撃はノイズの皮膚をひび割れさせる程度に過ぎなかった。ノイズの反撃は容赦なく、仲間が次々と倒れていった。市民たちは恐怖と混乱に陥り、パニックが広がった。


リナはそのすぐそばで支援の力を尽くしていたが、力の差はあまりにも明らかだった。その時、リナはソウタの目を見つめ、困惑と絶望を押し下げながら深呼吸をした。彼女の目には、決意が燃えていた。


「ソウタ、これ以上は…このままじゃ…みんなが…」


彼女は言葉を続けることができなかったが、その意志はソウタに届いた。


「リナ、でも、この力を使うと...」


「わかってる、でも今は仕方がない。もう一度だけ、輝煌の絆を使おう。最後にしよう、一緒に。」


その言葉にソウタは短い頷きを見せた。時間がゆっくりと流れるように感じられ、二人の心が一つになったその瞬間、天から強い光が放たれ、ノイズへと立ち向かった。


「これが僕たちの絆だ!」


その力は圧倒的で、光がノイズを貫き、その体を粉々に砕いた。人々はその壮観な光景に目を細めながら、敬意と感動の涙を流した。


戦いが終わった後、ソウタとリナは疲れきった身体で支え合いながら地面へ降り立った。周りの市民たちは彼らを見守り、静かな拍手を送っていた。


ソウタはリナの顔を見た。彼女の顔は青白く、その目は悲しみと疲労で濁っていた。彼の目にも疲労と絶望が滲んでいた。


「リナ…もう、これ以上は…力を使えない。これからどうやって守っていけばいいんだろう…」


リナはソウタの言葉に対し、強く彼の手を握り締めた。


「一緒なら、何とかなる。信じていいよ、ソウタ。」


彼女の温かな手と言葉に、ソウタは少しの安堵を感じた。だが、その胸中には依然として強大なノイズへの恐怖と絶望が渦巻いていた。


残りの使用回数:2回

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