第23話 逼迫する戦局

シャングリラの街の静かな夜。月明かりが街石畳に柔らかな光を投げかける。リナはその光の中で、自身の限界を感じつつも、ソウタとともにノイズの勢力と戦い続けていた。


リナの心の中には迷いと焦燥が渦巻いていた。反ノイズの力を使えば使うほど、その力に呑まれてしまう危険が高まっていく。しかし、その力なしにはノイズに立ち向かうことができない。そのジレンマがリナの心を苦しめていた。


「リナ、大丈夫か?」


ソウタがリナの肩に手を置き、心配そうに訊ねた。リナは強がりながらも、微笑を浮かべて答えた。


「心配しないで。まだ戦えるわ。」


そんな彼女の表情に、ソウタは無言で頷き、再び前線へと身を投じた。彼の背中を見送るリナの瞳には、未だ揺るぎない決意が灯っていた。


戦場はさらに熾烈を極める。ノイズのボス、ダークネスリーダーは言葉を操り、部下たちを指揮していた。彼の力は非常に強大で、リナたちは手をこまねいているわけにはいかなかった。


「リナ、今だ!」


ソウタの声に応えるように、リナは再び反ノイズの力を発動させた。しかし、その力は以前ほどの輝きを見せていなかった。力を行使するたびに身体がノイズに侵されていく感覚、それをリナはひしひしと感じていた。


「くっ…まだ、まだいける…!」


リナは 歯を食いしばってノイズの群れに立ち向かった。一方、ソウタもまた、リナを支えながら戦っていた。


その時、突如として現れたダークネスリーダーの部下の一人がソウタに襲いかかった。


「ソウタ!」


ソウタはその攻撃から逃れようとしたが、彼の速さには追いつけず、肩を傷つけられてしまう。


「くそっ…!」


リナは慌てふためくソウタを見て、パニックになった。彼女は心の奥底で感じていた。この戦いは彼らにとって逃れられない運命だったのかもしれないと。


でも、彼女はまだ諦めていなかった。リナは深呼吸を一つして、新たな決意を固めた。


「ソウタ、私が守るから…!」


その言葉を胸に、リナは再び力を発動させた。周囲のノイズたちに向けて強力なエネルギーを放ち、彼らを退けた。


しかし、その行動がリナの体にさらなる負荷を与えていた。彼女の顔色はどんどん悪くなっていき、体も震え始めていた。


「リナ…もう止めろ…!」


ソウタの叫び声がリナの耳に届いたが、彼女は聞こえないふりをして前進を続けた。彼女はソウタを、そして街を守るために戦うしかなかったのだ。

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