第7話 絆 - 後編
月の光がシャングリラの街を静かに照らし、ソウタとリナはふとした瞬間に再会したユキと共に立ち止まっていた。疲れ果てた彼らの表情にも、未だ新たな希望の灯火が微かに輝いていた。
ユキの顔立ちは幼さを残しつつも、その瞳には予想外の強さが宿っていた。ソウタはユキに向かって、感謝と警告を込めた言葉をかけた。
「今日は助かったよ、ユキ。でも、これからはこんな危険な場所に来ないでくれ。」
ユキは微笑みながら頷き、返答した。
「わかったよ、お兄ちゃん。でも、リナさんがいれば、また来ても良いよね。」
その言葉に二人は微笑んだが、その安堵は束の間、再び街を覆うノイズの波が彼らに襲いかかった。
この戦闘は前回よりも激しく、ノイズの力は増していた。リナとソウタはユキを守る決意で立ち向かった。しかし、ユキも彼らと共に戦うことを決意していた。
「ユキ!逃げろ!」
リナの叫びにも関わらず、ユキは立ち地に留まった。そして、その小さな体から放たれる力がノイズを押し退け始めた。ユキは固く目を閉じ、両手を前に突き出して集中していた。その姿はまるで古の戦士のようだった。
「これもシャングリラを守る力の一つなんだ、リナさん。」
その言葉と共に、ユキは身を纏う力を解放し、ノイズを消滅させた。一時的ながら街に平和を取り戻した。
しかし、その力を使い果たしたユキはソウタの腕の中で静かに息を引き取った。
月明かりが街を優しく照らし、夜の静けさが広がっていた。その中で、ソウタはユキの消滅する体を抱きしめていた。彼の顔は苦痛と喪失感で歪んでおり、目からは涙が溢れて止まらない。リナも側に跪き、ユキの優しさと力を思い起こしていた。その時、ソウタが強く震える声で言った。
「ユキ…ごめんな。こんな目に遭わせてしまって…でも、ありがとう。お前の力、お前の願い…俺たちが受け継ぐから。絶対に、この街を守り抜くんだ…お前の為にも…」
その夜、二人は新たな誓いを立て、シャングリラの街で新しい朝を迎える準備を始めた。ユキの煌めく光が、彼らの心に永遠に灯り続けることを誓いながら。
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