第6話 絆 - 前編
朝日がシャングリラの街を優しく照らし出す。リナとソウタは一時の休息を終え、新しい日の準備を始める。だが、この日がソウタにとって特別な意味を持つことになるとは、まだ二人は知らない。
街を歩きながら、ソウタは突如として広場の片隅で動く姿に目を止めた。小さな少女が一人、瓦礫の中で何かを探している。その姿を見てソウタの顔が急に青ざめた。
「リナ、あれは…ユキだよ」
リナはソウタの声に驚き、その方向へ目を向けた。ソウタは慌ててユキのところへ走り出し、リナも後を追いかけた。
「ユキ!どうしてここに!」
ソウタがユキを強く抱きしめると、彼女は驚きながらも兄の顔を見上げた。ユキの小さな体が震えており、瓦礫の中で手に握っていたのは、おぼろげながらもかつての家の形をした小さなオモチャの家だった。
「お兄ちゃん…一人で大丈夫だよ。でも、まだ街には怖いやつらがいっぱいいるんだ…」
その言葉と彼女の握っていたオモチャの家から、街にまだ残る危険と、彼女が一人で強くあろうとしていることを感じ取れた。ソウタとリナは再び戦う覚悟を新たにした。しかし、ソウタはユキを戦場に連れて行くことができない。
「リナ、ユキを安全な場所へ連れていってくれ。俺はここでノイズとやりあう。」
リナはソウタの決意にこたえ、頷いた。
「わかったわ、ソウタ。でも…」
そのとき、ユキがリナの服を引っ張った。
「リナさん、私も戦いたいの。役に立ちたいんだ。だから、一緒に戦わせて。今日だけでも…」
リナはユキの強い決意を感じ、少しだけでも彼女の力を借りることに決めた。
「いいわよ、ユキ。でも、危なくなったらすぐに逃げるんだぞ」
ユキは力強くうなずいた。
そして、シャングリラの街で新たな戦闘が始まった。ソウタは前線でノイズと戦う一方、リナとユキは裏での支援活動を行うのだった。
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