巨人少女と終末世界
海鳥 島猫
序章
prologue
最初に誰かがそれを見つけたとき、人々はそれを重大だとは思わなかった。
話題にはなった。地球にぶつかるかもしれない小惑星が見つかった、と。
だがほとんどの人はそれを遠い場所のことだと思っていたし、科学者たちがきっとどうにかするんだろうと思っていた。衝突するのだって、何十年も先だと予想されていた。
まるでSF映画を観るかのように、リビングで、電車の中で、車の中で、そのニュースは人々に消費され、流れていった。
誰も思っていなかった。
このSF映画は画面の向こう側の話ではなかったなんて。
自分たちも登場人物の一人だったなんて。
誰も信じられなかった。
ただの小惑星だったはずのものが、意思を持って地球へ追突しようとしているだなんて。
追突した後、その中から巨大な生物が現れて、自分たちを踏み潰していくなんて。
誰も認めたくなかった。
こんな形で世界が終わるだなんて。
こんな形で自分たちが終わるだなんて。
誰も認めたくなかった。だから、人々はこの巨大な理不尽に抗った。
時には自らも理不尽となりながら。あらゆるものを失っても、人の世界を守ろうと戦った。
しかし結局、戦いには敗れ、世界はバラバラにされた。
誰も、もう生きていなかった。
――本当に?
まだ聞こえている。
人々を探し
抗い続ける、ふたつの足音が。
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