ep12:二年後の流れ星(第53回「2000文字以内でお題に挑戦!」企画)

主催者:クロノヒョウ(https://kakuyomu.jp/users/kurono-hyo氏)

開催期間: 2024年4月18日~2024年4月25日

趣旨:2000文字以内で「二年後の流れ星」のタイトルに合う小説を書く。


ご本家様:https://kakuyomu.jp/user_events/16818093075770569851




本編/title:君はUFOの大群を見たか!?


 秋戸――ミンミンゼミがうるさい。


 これだから夏は好きじゃないのに秋戸あきととその親友・建都けんと信国のぶくに貴光たかみつの4人はグラウンドのど真ん中で何も敷かずにあおむけになった。


 夏場のせいか、地面はまだ温もりを残しており、暖かい敷布団みたいだ。まあ、背中が砂だらけになるのは難点だが……。


貴光:「でもマジであの噂は本当なのか?」


 そうまるでお母さんを呼ぶような声で聞くと信国が今回の趣旨を言ってくれた。


信国:「なあな、流石にUFOの大群を発見した噂なんて嘘だろ? まあ、ほんとならラジオのネタになるけど」


 そう、今回の噂は「UFOを見た!」というより、「UFOの大群を見た!」という本当にバカげた話なのだ。


 だが俺達・特異現象捜査部校内の噂を実証するグループは半分ネタに走り、今夜グラウンドで張り込みをすることにしたのだ。


 秋戸――ほんと、我ながらばかげている……。


秋戸:「まあ、気長に待とうぜ、UFOなんてそう簡単に見つかりやしないからな」


 秋戸がそう言うと、みんなはうなづいて、雑談を始めたのだった。




◇ ◇ ◇


貴光:「UFOか、流れている間にお願い事していたら願い叶うかな?」


建都:「それは流れ星だね……」


秋戸:「でもせっかくだし、試しに地球侵略とか願ってみる?」


信国:「物騒すぎるわ!」


貴光:「でもどうせ、UFOの発見者はとかと間違えたんだろ?」


秋戸:「なにその臭そうな乗り物」


信国:「密閉空間でシュールストレミング世界一臭い食べ物缶でも開けたのかな?」


建都:「なにそれ最悪」


秋戸:「それ、普通に人類が滅亡するから」


建都:「いや、そんな大げさな!」


貴光:「いやそんなことはないさ。多分『お、ここが地球か、なんと美しい、侵略してやろう、だが、とってもくせぇ! 私は帰るぞ!」』


信国:「おい、シュールストレミングが意図せずして地球を守ったぞ!」


秋戸:「よし、国家の国防費でシュールストレミングを爆買いしようぜ!」


建都:「いや、宇宙人来る前に人類が臭さで滅亡しちゃうよ!」


貴光:「なんてこった、図らずして宇宙人の思惑通りに!!」


秋戸:「ふふふ、計画通り……!」


信国:「アキ秋戸、お前宇宙人だったのか……! スクープスクープ!」


建都:「でも、これで人類滅亡しても、この地球、めっちゃ臭いと思うけど……」


秋戸:「ぐわ、なんて匂いだ! いったい誰がこんなことを……」


3人:「お前だよ!」


 こうして人類滅亡☆も、地球は侵略されませんでした、めでたしめでたし!




◇ ◇ ◇


 そう他愛ない会話をしていた時だ。



貴光:「おい!」



 そう貴光は雑談を遮って声を大にして叫んだ。3人は首を横にひねって貴光の方を見てみるが、そこには指を夜空に刺している貴光の姿が夜の闇に紛れながら映っていた。


 秋戸――何事だ?


信国:「うわ!」


 信国も声を上げる。指差す夜空。それに秋戸も思わず「こいつは……」とつぶやいていた。


 そうそこにはUFOが……。


 まあ、いるはずもなく……。



建都:「UFOの噂なんて僕のでまかせ、、一緒に見れて良かった!」



 そう建都は笑いながら暴露した。薄暗い夜空、そこには無数の流れ星が夜空に駆けていった。白い星屑が山の方へ下りていく。


信国:「スクープスクープ、ノブラジのネタこいつで決まりだ!」


貴光:「ちょ、早くお願い事しないと! えっと、将来プロサッカー選手になれますように!」


 そう貴光が言ってからはっとした。


 秋戸――願い事か……。


 正直、それについてあまり考えていなかった。それにお願いするのすら少し子供ぽくて少し恥ずかしいくらいだ。


 その横で建都は呟く。



建都:「来年も、2年後も、何年経っても、みんなと笑いあえますように……」



 ずっと転校を繰り返してきた建都がそうつぶやいたのだ。それに秋戸は少し考えた。


 秋戸――来年も、二年後も、ずっとみんなと笑いあえる、か……。いいな……。


 そんな建都の願いを秋戸は心の中で復唱した。すると秋戸はっとした。ふと思いついた願い事を夜空、無数の流れ星に投げかける。



秋戸:「来年、いや2年後、いやそれ以降でもいいから、!」




  aftere pisode 秋戸の日記


 あの日から2年後だ。本当に幸運なことに4人とも同じ高校に通うことができた。これがあの流れ星のおかげかなんて分からないけども。


 そして今日、4人のグループメールにこうつづられていた。


建都:「今夜、みんなでUFOの大群を探しに行かない?」


 このメールを見て秋戸は微笑んだ。


 ――日記はここで途切れている(ep end)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る