恋なんてテキトーでよかった

穏眠そろ

第1話

 僕はそれなりにモテてきた気がしている。人生で何回か告白されたことがあるのもそうだが、一夜限りの過ちというのを何回も経験している。そういうことが人生であったから、僕はモテてきたと思っている。何もない人に比べてモテてきた、と言えるのかもしれない。そうなると当然、彼女がいた事になるのだが、もちろん、彼女はいたことがある。今はいない。


モテてきたなんて思っていても、もう30代も後半になると独身貴族だなんて言われる。当然、若い女性との結婚も望まなくなる。望まなくなるというよりは、相手から対象に思われなくなるのだろう。相手が望まないだろうと思い込んでいるので、僕も臨んだりはしない。


 はじめて告白されたのは小学校の高学年の時だったと思う。確か、文化祭か運動会か何かのあとで告白された。告白された、というよりは図書館に呼び出されて、手紙をもらった。失礼ながら小学校の時の女の子の顔が可愛かったか、なんて覚えていないけど、大人になってメッセージアプリの同級生のグループができて、写真を見た時は、可愛い、なんてもったいないことをしたんだろう、なんて思ってしまった自分がいて、情けないと思う。


確か、高校を卒業して、しばらくして、の同窓会であの頃からずっと好き、なんて嬉しいことを言われたことがあった。


告白されたときって、恥ずかしさとか、なんか好みじゃないとか、周りからの目が恥ずかしい、とかでやんわりと断ったのだろう。はっきり断りきれない、情けない自分が常に、いる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る