殺人犯に恋をした

千才生人

殺人犯に恋をした

 俺は勝治。昔から本当に惚れっぽいのだ。

 電車で可愛い子が乗っていればその子の隣に座り、話しかけ、避けられ、どんなシチュエーションでも同じ。


 そんなある日、仕事帰りで疲れ果てていた俺は暗い道を歩いていた。月の光で何とか道が見えるのだが、やはり暗い。


「星が綺麗だな・・・」


 夜空を遠い目で見上げて、エモーショナルなムードの中、


「助けてくれ!!」と、事件性のある声が聞こえた。

 声が聞こえた方へ行くと、おそらく助けを呼んだ男性と背の小さい女性の影が見えた。暗いのでスマホのライトで照らすとそこには、包丁を男性の首に刺す血まみれの女性がいた。


「だ・・・」


 声が出ない・・・。


「か・・・」


 声が出せない・・・。


「か、可愛いですね。結婚を前提にお付き合いしてくだ―――」



 ―天界―


 首を刺された男性は言った。


「お前すごいな」


 殺人犯に恋をした俺は言った。


「好きになったからしょうがない。うん、しょうがないのだ」


「死んでも、可愛い殺人犯には近づかないわ」


「死んでるだろ」


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殺人犯に恋をした 千才生人 @sanmojiijyou

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