　その日は、朝からソワソワしていた。

　外に、東北電力の車が来ていた。どうやって情報が入ってきたか分からないが、3/17に電気が通るらしい。

　あれだけの震災があったにもかかわらず、うちの地域は１週間くらいで電気がついた。

　夕方だったはず。東北電力の車が来て、電線の点検をしていた。

　私は窓に張り付いて、その様子を見守っていた。

　職員が家に来て、話をする。

　ドキドキしながら、茶の間の電気をつけた。

「ついた！」

「ついたね！」

　家族で子供のようにはしゃいだ。１週間ぶりに電気がつく。当たり前のように電気がつくことに感動したのは、後にも先にもあれが最後だろう。最後だと願いたい。

　１週間ぶりにお風呂に入った。１週間ぶりにゲームを充電した。１週間ぶりにテレビを見た。

　たった１週間。されど１週間だ。電気がつくことは、こんなにも素晴らしいのだと知った。

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