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ラジオから聞こえてくるニュースや人から聞いた情報は、信じられないものばかりだった。
『10mの津波が押し寄せ、沿岸は壊滅的』
『道路に200人の遺体が上がっていた』
『防風林が全部なぎ倒された』
『貞山堀の水が全て引いた』
『高速道路から向こう側。地獄みたいな光景だった』
あまりに現実味がない情報で、夢なのではないかとさえ思った。
それでも、これは現実なんだと知った。学校はやっていないし、電気はつかない。ガスもない。
ラジオを聞きながら日中は過ごした。その間、母は帰ってきていない。
母の通勤路は2つある。海側と国道4号の2つだ。普段は、「空いているから」との理由で海側を通る。
まさか、海側を通って巻き込まれたんじゃあるまい。心配した。
そんな母は、普通に深夜に帰ってきた。……酒を飲んでめっちゃご機嫌で。
無事に帰ってきたことに安心しつつ、飲酒運転はダメだろと心の中で突っ込んだ。というか、口に出していた。
母は、被災した後スーパーの店長から「飲むか」と日本酒を貰ったらしい。車で帰る人間に飲ませるな。
その後、国道側をゆっくりと帰ってきたらしい。よく帰れたなと思う。
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