第20話 恩返し
「足止め?」
もうさっきからクエスチョンマークだらけや。
「はい」
幽霊さんたちが全員頷いた。
おーん、なんか凄い光景。
首のない人おるけどな。
それを含めて凄い光景。
「既に足止めを実行中です」
「あ、成程。せやからヤツらはまだここに
「はい」
納得納得。
「ホンマにありがとう。でもさ、アイツら力強いやろ。私がみなさんを視えるようになったと同じく、アッチも力を増しとるはず。大丈夫なん?」
心配ごと。
美佳と私にとって、幽霊さんらは一緒に過ごしてきた仲間やから。
お祓いされてしもうたら寂しい。
「ご心配ありがとうございます」
感謝された。
会話が通じるって嬉しい。
「仰る通り、本家の人間どもは元々強い力を持っています。加えて、美佳さんの影響で更にパワーアップしています。しかし」
「しかし?」
なんか禍々しいオーラ出しとる気がする。
そりゃそうか。
本家にいい感情は抱いてへんのやろうから。
問答無用でお祓いされるんと、話聞いたうえで処遇を決めてくれるんやったら、どっちがええ?
明らか後者。
「問題ありません。いくら本家の人間でもお祓いしきれないほどの霊が集まっていますから。質より量、ですね」
「マジか」
「マジです」
美人さんが「マジ」って微笑みながら言うとおもろいな。
アカンアカン。
会話を楽しんどる場合やない。
「因みに、どれぐらい……」
「数百体でしょうか。正直、私もハッキリと把握していないんですよ」
ふふっ。
「笑いごとですかね!?」
数百体って。
「え、待って」
ここで疑問が一つ。
「うちに数百体もおらんやん。どっから集めはったんですか」
「あの世から戻ってきたモノ。今回のことを聞きつけて、凛子さんの家を出て行ったモノたちも戻って参りました」
「なんでそんな危険を冒してまで」
強制的にあの世へ逝かされるかもしれへんのやぞ。
「それは、私たちは貴女方に救われたからです。恩返しをさせてください。お願いします」
美女幽霊さんが頭を下げると、後ろのみなさんも頭を下げてくれた。
あぁもう……言葉にできへん。
私らがやってきたことは無駄やなかったんやな。
「お願いするんはこっちの方です。頼んます」
頭を下げ、心が温かくなったところで疑問がまた一つ。
「美佳に邪魔されへんの? 自分の山で他所の幽霊が暴れまくっとったら――」
「何故か自由にさせてくれるんですよ。霊の味方なのでしょう。憑りつかれても変わりませんね」
苦笑する彼女に、
「せやな」
私も苦笑した。
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