異世界魔王討伐RTA~6時間で魔王を倒せって言われたけど、ベリーイージーモードなんで楽勝だった。むしろ、姫様とのイチャイチャがメインでは?~
第25話 のんびりイチャイチャしているうちに快適な空の旅を終えた
第25話 のんびりイチャイチャしているうちに快適な空の旅を終えた
それより、今気になるのは――。
「じゃあ、この8番で終わりなのか。もう折り返しか。あっという間だな」
地図上で8番を指している場所は、人里離れた辺境の岩山に囲まれた忌まわしそうな城を指している。いかにもラスボスがいそうな場所だ。
ようやく半分か……。
感慨深いものがあるな……って、全然ねーよ!
オレなにもしてねーよ!!
言われるがままに、後着いて行っただけだよ!!!
ハッタリ演説カマしただけだよ!!!!
こっち来てから、まだ一時間しか経ってねーよ!!!!!
などとセルフツッコミを入れてから隣を見ると、リスティアはオレの方に顔を預け、ただ黙ってニコニコとこちらを見上げていた。
うわあ。ヤバいよ、この破壊力。
こんなん惚れてまうやろ。
性格とか中身が大事だって、オレは本気で思っている。
外見ばっかよくて、中身がクソなヤツはいっぱい見てきた。
だけど…………このレベルのカワイさだったら、そんなこと言ってる余裕ない。
たとえ、これが演技だったとしても、演技だと分かっていたとしても、惚れてしまうかもしれん。
いや、ほんと、カワイイは正義だ。
これで超ドビッチとか、男を弄ぶだけの悪女とかだったら、一生立ち直れないレベルの女性不信になるわ。トラウマとかって話じゃない。
でも、それが分かっていても…………。
とオレは彼女の瞳に吸い込まれるようにして、マジで恋する数秒前になってたとき、不意に――。
「きゅいいいいいいっ!!!」
とフェニックスが大きく吠えた。
「なんだっ!?」
前を振り向いたオレの視界に飛び込んできたのは、巨大なドラゴンだった。
さっき退治に行った四竜たちよりはひと回りふた回り小さい個体だが、フェニックスとどっこいどっこいの巨大なサイズのようだ。
ドラゴンは右斜め前方からこちらに近づいてくる――。
まだ距離は離れているが、ブレスなどの遠距離攻撃があるかもしれないから油断はできない。
まあ、イーヴァが貼ってくれたバリアがあるから、なにが飛んできても大丈夫だとは思うけど。なにせ、四竜の攻撃を防いだバリアだ。コイツの攻撃が四竜より強いってこともあるまい。隣のお姫さまなんか、まったく気にも止めてないし。
それに、リステリアに手玉に取られてる姿からはかわいいペットという印象しかないが、こいつも一応は聖獣だ。ドラゴンごときに遅れをとることもないだろう。
突如、ドラゴンが大きな唸(うな)り声を上げ、翼を大きく広げる。
そして、ドラゴンは――その場で急停止、慌ててUターン、全力で飛び去って行った。
うん。まったくビビる必要なかったな。
「やっぱりコイツ強いんだな」
「でしょ〜」
リスティアは自慢のペットを褒められたかのように嬉しそうな顔してる。
「そんなコイツを飼い馴らしているリスティアもすげえな」
「えへへ〜。もっとほめて、もっとほめて〜」
褒めているっていうよりは、呆れてたんだけどな……。
でも、喜んでいる姿が可愛いから、彼女の頭を軽く撫でてやる。
すると、リスティアはさらに喜んでくれた。
ヤバい、カワイすぎる。
その後も何度か空を飛ぶモンスターを見かけたが、ほとんどはフェニックスの速度についてこれなかったし、たまたま進路上にいた不幸なヤツらはフェニックスのブレスで消し炭にされていた。
おかげで、ゆっくりと空からの景色を楽しむことができる。
そんな感じでのんびりイチャイチャしているうちに快適な空の旅を終えたオレたちは、無事に商業都市国家『シティー』に到着した――。
――ミッション4クリア――
◇◆◇◆◇◆◇
【後書き】
次回――『これはこれは、リスティア姫殿下ならびに勇者様。このたびは――』
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