「虚ろなる十月の夜に」について

アメリカのSF作家である「ロジャー・ゼラズニイ」が書いた長編小説です。


クトゥルフ神話ものなんですけど、聖杯戦争のようなゲーム的な要素が含まれるという点は、他の神話作品にはない特徴と言えます。少なくともわたしは知りません。





数十年に一度、満月のハロウィンの日に行われる儀式。そこには、開く者(オープナー)と閉じる者(クローザー)がいます。儀式を行い旧支配者を呼ぶものと、それを防ぐもの。

そんな二つの陣営の戦いを描いた話です。


主人公は犬です。正確には、犬の使い魔ですが、彼の視点から物語は語られていきます。他の使い魔たちと話をし、断片的な情報が集まっていき、それが終盤に意味をなしていくのが面白いです。いっしょに推理しているみたいで。


ただ、そういう儀式的なゲームにおける推理が主軸というわけではありません。そこらここらにオカルト的・クトゥルフ的な要素が散りばめられています。登場人物だったり、アイテムだったり、果てはドリームランドにも行っちゃいます。




難点は、やっぱり主人公が犬ってことでしょうか。


また、主人公たちが「何か」をやっているというのはわかるんですけど、その説明は先の方にならないとわかりません。


というか、情報が0の状態から始まるので、展開がゆっくりだと感じました。焦ったくなるかも。


その分、情報が出そろう後半は好きなんですけどね……。





推理要素だったり、クトゥルフ要素だったりが散りばめられたファンタジー的な小説が読みたい方、いかがでしょうか。




あと地味に、ドリームランドの記述が細かいです。結構な量のページを割いていて、各地の紹介になってます。地図と合わせて読むと面白いかも?

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