【幻夢境シリーズ】について

イギリスのホラー作家「ブライアン・ラムレイ」によって書かれた、ドリームランドを舞台としたシリーズ。


日本では、その第1巻にあたる『幻夢の英雄』が青心社から発売されています。


未訳部分は長編が二つ

『Ship of Dreams』

『Mad Moon of Dreams』


短編集が一つ

『Iced on Aran』


そして、雑誌掲載の短編が二つ

『The Weird Wines of Naxas Niss』

『The Stealer of Dreams』




実は、このシリーズ、異世界転生ものなんです。


というのも、このシリーズの主人公とその相棒は(おそらくはヒロインも)交通事故で命を落とします。


しかし、彼らはドリームランドへ行き来できましたので、そこで生きていく……という話なのです。


まあ、現代の知識は持っていけてないので、チート級に強いというわけでもないんですけども、剣と魔法で神話生物や邪神たちと立ち向かっていきます。





……っていうと、クトゥルフ神話を知っている方は驚かれるかもしれません。


人類は、邪神をはじめとする超自然的な存在に、なすすべがない。


確かにクトゥルフ神話というのは、そういうものです。


でも、【幻夢境シリーズ】は違います。


襲いかかる邪神を機転で撃退し、未知なる場所を旅し、危険を乗り越えていく。その爽快さは、ドリームランドどころか既存のクトゥルフ神話にさえ少ないものです。


クトゥルフ神話を舞台にした、ヒロイックサーガといった感じでしょうか。


その点で、最近クトゥルフ沼に入った人にもおすすめだったりします。


転生ものだし、基本的に主人公たちは負けませんから。






また、このシリーズではドリームランドの新たなる一面を見せています。


例えば、ドリームランドは、中世ヨーロッパみたいな世界観だと思われています。


レンガ造りの家があって、

人々はウマにのり、

腰には剣を携え、

向かう先には大自然が広がっている……。


それは正しいんですけど、科学が存在しないというわけではありません。


『幻夢の英雄』において、主人公たちは、管理者と呼ばれる存在の命令を聞くはめになるのですが、その管理者はどう見てもAIです。


その源には魔法の力があるとはいえ、科学的なエッセンスは確かにあるのです。






新たな幻夢境の一面が知れるシリーズ、皆さんも読んでみませんか。






難点は、シリーズの一巻目しか翻訳されていないことでしょうか。『ラブクラフトの幻夢境』というTRPGの本で、未訳部分の設定に触れてるんですけど、そのくらいです。


一応、同じ作家が手がけた『旧神郷エリシア』には、【幻夢郷シリーズ】の主人公たちがでています。【タイタスクロウ・サーガ】の最終巻なのがネックですけど……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る