第6話 31話 春ヶ原にて

 桃色の大地と、流れる風に舞う花びら。青い泉と小川。


 春ヶ原に来るのはまだ二度目だが、やはりなつかしい風景だと思う。

 人の心の中に住んでいる想い出の風景に近いのだ。


 風花はまぶしく春ヶ原を見つめていた。


 優月は元気そうだった。


 見護るように、草花たちの傍らにいる。本当に幸せそうに見える。


 草花は笑顔いっぱいで小毬を抱き、立貴は静かな表情で昼寝をしていた。


 小川の水音が響いていた。鈴を思わせる、弾んだ音をたてて流れていく。


 泉の端で、風花は一人、足をひたしていた。


 泉からは、優月たちの様子がよく見えた。

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