第5章 48話 なぜ、ここに……

 風が夏澄に吹きつける。

 夏澄は霊力で防御しているようだった。


 これ、春ヶ原を傷つけた風……?

 なんで、ここに?


 優月さんがいるから? やっぱり、狙われていたのは優月さん?


 風花を庇う、夏澄の衣が風を受けて揺れた。


 夏澄くん……っ。


 風花は足を踏み出した。夏澄を盾にしたくない。


 夏澄の前に出ようと、歩を進める。


 その風花を、夏澄が後ろ手で止めた。

「だめだよ、風花」

「でも……」


「俺はだいじょうぶだから」


 夏澄の手が水色に光り始める。

 光は縦に広がりはじめ、夏澄の前に壁のようなものを造った。


 霊力の壁にぶつかった風は、跳ね返るように曲がる。分散した。


 分散した風は、広場のほうに流れていく。飛雨やスーフィアのほうにも向かった。

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